前大会は青山学院大学が初優勝を飾った箱根駅伝だが、雪辱を期すライバル校はどんな作戦を立てているのか。どこよりもディープな情報を収集するウェブメディア「駅伝ニュース」の主宰者・西本武司氏(通称・公園橋博士)が、前々大会の優勝校・東洋大学の作戦について分析する。(文中敬称略)
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12月10日にエントリーメンバー16人が発表され、各校は最終調整に入った。強豪校の内情を推し量る情報も限られてくる。だからこそ、小さく断片的でも公開された最新情報から想像を巡らせる楽しみが出てくる。
前号で、11月29日に埼玉県川越市で行なわれた小江戸川越ハーフマラソンに東洋大の服部勇馬、櫻岡駿(3年)、堀龍彦(2年)ら主力を含む6人が出場していたことをお伝えした。その現場に足を運んだ(「駅伝ニュース」を一緒に運営する)「マニアさん」から、1枚の写真を見せられた(画像参照)。
東洋大の6人が横2列の隊列を組んでいる。何か違和感を覚えないだろうか。6人のうち5人はお揃いのランニングシャツ。一方、前列中央にいる主将でエースの服部勇馬だけが袖のあるTシャツにアームウォーマーを着用している。
この服装は──。そう、前回箱根5区で驚異的な記録を叩き出した時の青学大・神野と同じ、山登り仕様である。ランナーは服にこだわる。着慣れないウェアで肌が擦れたりすれば集中力を削がれるからだ。
つまり、これは山登りの服装を実際に走ってチェックしているのではないか? 「東洋大の酒井俊幸・監督は、不動のエース服部勇馬を5区に起用するつもりでは」という想像が膨らみ出す。この日、東洋大の6人は1km3分15秒のペース設定を守って走りきった。平地のハーフのタイムとしてはややスローだが、これはちょうど箱根の急勾配を上るペースと符合する。