少子化が進み、「お墓を継いでくれる人がいない」「子供に負担をかけたくない」という悩みを持つ人が増えている。そんなニーズに応えるのが“価格破壊”の進む永代供養墓だ。永代供養墓は個人墓より安く供養できることが魅力だが、近年はさらなる「価格破壊」が起きている。
低料金化と全国展開を進めているのがイオン、ユニクエスト・オンライン、みんれび、といった墓業界に新規参入した事業者だ。
先鞭をつけたのはイオン。宗旨・宗派を問わずに永代供養してくれる合祀墓を紹介するサービスを2013年9月にスタートさせた。埋葬料、永代使用料、永代供養料、永代管理料などすべて含めて3万5000円で済む。
現在、11都府県の21の寺院や霊園でサービスを展開している。さらに、同社が展開する「イオンのお葬式」を使って葬儀を行なえば、永代供養がさらに5000円割引の3万円となる。
イオンに続いてユニクエストが5万5000円、みんれびが3万5000円という価格でサービス提供を開始。ユニクエストもイオンと同様に、自社の葬儀プラン「小さなお葬式」を利用したユーザーは永代供養が5000円割引となる料金体系になっている。
3社とも追加で発生する費用はなく、お布施も不要だという。3社の価格設定を比べるとユニクエストが2万円高いが、遺骨を受け入れる永代供養墓のある提携寺院は全国60か所あり、イオン(21か所)、みんれび(7か所)を大きく上回る。ユニクエストの企画開発部メディア制作課・仲野直紀氏はこう説明する。
「もともと弊社は定額の葬儀サービスを提供していましたが、お客様から“永代供養はないのか”という声を数多くいただき、参入を決めました。
少子化が進み、菩提寺とのつながりも薄れたことで、お墓の管理が難しくなってきています。年1回しかお参りしないのであれば、信頼できるご住職に丁寧に供養してもらった方がいいという考え方が浸透し始めていて、そうしたニーズに応えたいと考えています」
同社のサービスでは、僧侶が年1回以上読経して供養する。宗旨・宗派が問われることはなく、年間管理費なども不要だ。
撮影■杉原照夫
※週刊ポスト2015年12月25日号