毎週の視聴率30%超は当たり前で、なかには社会現象を巻き起こすドラマがあったのも今は昔…。今クールは『下町ロケット』(TBS系)と連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)が視聴率20%超を記録してニュースになっているものの、他は軒並み10%前後。
それほどドラマ離れが進んでいるなかで、この秋からじわじわ熱が高まっているのが、多くの海外ドラマが楽しめる『インターネット動画配信サービス』だ。ネット回線を利用して動画を配信する有料のサービスで、高速かつ大容量のネット回線の普及とともに急成長している。
ブームの火付け役となったのは、2015年9月、全世界に6900万人の会員がいる世界最大の動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」が日本に上陸したこと。ほかにも「hulu(フールー)」「dTV(ディーティービー)」「amazonプライム・ビデオ」など数多くのサービスが登場し、順調に会員数を増やしている。
欧米は「テレビはお金を払って見るもの」という文化が根づいているが、日本は「テレビは無料」が当たり前。そんな日本でなぜ、会員数が増えているのか。ジャーナリストの西田宗千佳さんが解説する。
「何といっても自社制作のオリジナルコンテンツが充実しています。日本のテレビ視聴者はおよそ1億人だけど、アメリカは人口3億人に加えて、ヨーロッパや日本にも億単位の視聴者がいる。市場規模が日本の10倍なので予算も10倍になり、制作費にケタ違いのお金を使えるんです」
それにスポンサーがいないのでCMもなく、表現の自由度が高く「トガッた」番組が多いことも大きな魅力。面白ければどんどんシーズンが続くが、つまらないと即打ち切りというシビアさも充実した作品が次々と現れる背景にある。
これまでもケーブルテレビやBS、DVDなどで、ファンを魅了してきた海外ドラマ。さらに動画配信サービスが上陸し、ドラマの本数はどんどん増える一方だ。でも、膨大な作品のなかで何を見ればいいの? 西田さんは「そのドラマは何シーズン目か」に注目する。
「作品が何シーズンも続くのは単純に面白いからです。もちろん個人の好みによりますが、大ヒットドラマに大きな“ハズレ”はありません。逆にシーズンが短いものはヒットしなかった作品と考えられます」(西田さん)
もうひとつの目安となるのは「ネット配信会社のオリジナル作品」だ。
「たとえばNetflixがお金を出して作るオリジナルドラマです。日本では既存のテレビ局のほうが“格上”と見られがちですが、アメリカではネット配信会社が作るオリジナル作品が高く評価されています」(西田さん)
実際、「ドラマのアカデミー賞」と言われるアメリカの『エミー賞』はここ2年連続でネット配信会社が制作したオリジナルドラマが受賞している。
※女性セブン2016年1月1日号