冷え対策に、近年、省エネなどの理由で見直されている湯たんぽ。中でも、注目を集めているのが、ウエットスーツ素材の「クロッツ やわらか湯たんぽ」(足用ショートタイプ 1万5120円)だ。製造元である、『ヘルメット潜水』の創業者で社長の伊賀正男さんは開発秘話を語る。
「ちょうど湯たんぽが見直されていた2004年に、知り合いのダイバーから、“冬の海から上がった時に体を温められるように、お湯を入れられる袋を作ってほしい”と言われたんです。それで開発を始めましたが、ウエットスーツ製造で培った立体成形技術を生かしつつ、湯を入れても漏れない、耐熱性の高いものを、いかに仕上げるかが課題でしたね」(伊賀さん、以下同)
ウエットスーツ素材は、もともと人間の体温を維持するために開発されたもの。断熱性や保温性に優れた特殊なゴムが使われているが、これには無数に開いた微細な気泡があり、その作用で湯を入れると中の熱が外へ緩やかに伝わるという。
「研究の結果、湯たんぽに最適な生地の厚みは6.5mmであることを割り出し、特許も取得。そして、ウエットスーツには必要なかった熱に強い接着剤をメーカーと共同開発。キャップ部分の構造を工夫するなど苦労の末、“やわらか湯たんぽ”が完成しました」
2007年5月の発売以来、シリーズ累計約30万個、現在は、発送までに約1か月待ちという状況。中でも画期的商品として話題の“足用”は、まるで温泉に浸かっているような癒しと冷え撃退効果が期待できる。
種類は3つ。1つ目の、足首まですっぽり入る長靴型は、底に湯が入るタイプで、畳の部屋や寝室向き。2つ目も長靴型だが、底に湯が入らないタイプで、フローリングやキッチンでの作業向き。3つ目の足首丈の“ショートタイプ”は、ソール付きで底にも湯が入るので、足全体を温かい湯で包んだままで移動できる。
まさに、歩ける湯たんぽ。これさえあれば、この冬は冷え知らずだ。
※女性セブン2016年1月1日号