2015年9月、司法試験の問題作成に携わる明治大学法科大学院教授の青柳幸一被告(67)が、教え子で交際相手だった20代女性のA子さんに試験問題を漏洩したとして、国家公務員法違反の罪に問われた。2人は2013年頃から交際を続けていたという。
12月10日に開かれた初公判で、青柳被告は「(A子さんを)自分の娘のように思い、なんとか合格させたかった」と弁明。裁判官から「娘として付き合っていたわけではないでしょ?」などと指摘されると、しどろもどろの答弁に終始した。
検察は「動機があまりにも愚か」とし、懲役1年を求刑。青柳被告はうなだれるだけだった。
横浜市内の閑静な住宅街にある青柳被告の自宅は雨戸が閉められ、インターフォンも電源が切られていて音が鳴らない。近隣住民は、「夫婦2人で暮らしていたが、事件以降は姿を見ない。郵便物の整理のために深夜や早朝に帰って来ているようだけど」と語っていた。
教え子との“禁断の恋”の代償は大きかった。だが、初公判では「教えてくれと頼んだことは一度もない」というA子さんの突き放した調書が読み上げられた。大学関係者の話だ。
「彼女は被害者だと主張しています。彼女の父親も“娘は何も知らずに巻き込まれた。本当なら試験に受かっていた”と教授に怒り心頭。事件後、彼女は若い男性に引っ越しを手伝ってもらっていたようだし、教授が本命だったとも思えない」
A子さんの実家に電話で直撃すると、母親と思しき女性が出て、「何も話すことはありません!」と繰り返すだけだった。
プライドの高さを貴族に例えて“ブルー卿”と呼ばれた著名教授は地位と名誉、そして恋も失った。
※週刊ポスト2016年1月1・8日号