2016年9月、日本サッカー界は絶望に包まれるかもしれない。現在、サッカー日本代表は、2018年のロシアW杯の2次予選を戦っている。9月から始まる最終予選進出はほぼ決定的だが、その戦いぶりは危うい限りだ。スポーツライターの杉山茂樹氏が言う。
「ハリルホジッチ監督のサッカーは中央からの攻撃が多く、ボールを取られた瞬間、選手全員が正面を向いた状態になってしまう。これでは攻守の切り替えに時間がかかり攻め込まれやすい。だが、その弱点を解消する様子がハリルにはない」
実際、2次予選ではFIFAランク149位のシンガポールにホームで引き分けるなど、格下相手に苦戦が続き、起用法を巡って選手から不満の声も漏れた。
最終予選は2次予選を突破した12チームを2グループに分け、総当たり戦で戦う。FIFAランク53位の日本は45位のイランや51位の韓国、57位の豪州といった強敵と同グループになる可能性も高い。
「最終予選は9月1日と6日の連戦で始まる。ハリルはアジアの強豪と真剣勝負の経験がない。2次予選で格下相手に苦戦した日本が変わらなければ、強豪相手に連敗も考えられます。サポーターは監督交代を叫び出すでしょう」(杉山氏)
思い出されるのは1997年のフランスW杯最終予選。予選突破が危うくなると、加茂周監督の更迭を求めるサポーターが選手の乗ったバスを取り囲む一幕もあった。そんな難局を任せられるのは誰か。サッカージャーナリストが語る。
「協会はW杯進出を逃すことでサッカー人気が凋落することを一番恐れている。危機的状況からチームをまとめ、国民感情も盛り上げるなら、指導力云々ではなく、選手、ファンの誰もが一目置く人物でなければ無理。
期待されるのはキングカズこと三浦知良の抜擢です。カズなら本田圭佑や香川真司も素直に従うはず。カズは監督のライセンスを持っていないので、“総監督”として全体を管理する立場になるでしょう」
監督は、かつてカズとともにW杯予選を戦い、2015年にサンフレッチェ広島をJリーグ王者に導いて評価を上げた森保一氏か。日本サッカーがピンチに陥った時、「カズJAPAN」誕生が現実味を帯びてくる。
※週刊ポスト2016年1月1・8日号