21種類の野菜の味が染みこんだ『桃太郎鍋』
白菜は芯からだしが出るから最初に入れる。丁寧にアクをすくうとスープが澄んでうまい…。ちょっとしたコツで鍋はグンとおいしくなる。東京・新宿区荒木町『桃太郎』の店主・千葉良一さんにおいしさの秘訣を教えてもらった。
昆布だしでとった黄金色のスープで、21種類もの野菜を味わう『桃太郎鍋』。根菜や肉を煮た鍋でしゃぶしゃぶした小松菜やレタスは感動もの! 鍋の概念が変わる。
これぞ“命”という特製スープは美しい黄金色。日高産の根昆布を弱火で約1時間煮てだしをとり、秘伝のたれを加えて仕上げる。大分産のゆずこしょうを添えても。
かつての花街の風情が残る東京・荒木町の飲み屋街にひっそりと佇む『桃太郎』。昭和の懐メロが流れる店内で、店主の千葉さんは豪快な笑顔で迎えてくれた。
「うちの鍋はスープが命。このうまいスープで野菜をたっぷり味わってもらうよ」と言って、目の前に現れたのは山盛りの野菜。せりや水菜といった鍋でおなじみの食材に加え、レタスや貝割れ大根、クレソン…まるでサラダ? と思うほど葉野菜がぎっしり。
「野菜からね、い~いおだしがたっぷり出るんだ。最初と最後でスープの味が変わるから、ひと口飲んで覚えておいて」と、鍋奉行ならぬ店主自ら、ひとつひとつ野菜をしゃぶしゃぶして器に運ぶ。
サニーレタスを食べて…衝撃! 葉のひだがスープを抱き込み、噛むとジュワッと汁が溢れる。こんな食べ方もあったのか~と、感心していると、すかさず「小松菜はバターのような味がするよ」と店主。スープでしっとりコーティングされた小松菜は、ほのかにバターの香りと甘さがふわりと鼻に抜ける。
撮影■田中宏幸
※女性セブン2016年1月7・14日号