2015年の日本の自動車マーケット。輸入車勢は今年も活発に新車を投入してきた。だが、“らしい”と思わせるようなモデルは意外に少なく、実用ミニバンのようなモデルが多かった。
また、秋には欧米市場で露見した排出ガスに関する不正問題によるイメージダウンでフォルクスワーゲンが大幅な後退を余儀なくされるという負の話題も出てくるなど、決して平穏ではなかった。
そんな輸入車セクターの2015年ニューカマーのベスト3を、自動車ジャーナリストの井元康一郎氏に選んでもらった。
●第1位/レネゲード(ジープ)
ジープのコンパクトSUV「レネゲード」は、ファッション性重視のFWD(前輪駆動)とオフロード性能重視のAWD(4輪駆動)がある。
とくにジープらしいのは最上位グレードのAWD「トレイルホーク」。オフロード車を名乗るミニマムラインの最低地上高200mmを確保し、オフロードの急勾配を下るときに便利なディセンドブレーキなど、その名のとおりトレイルドライビングを楽しむ仕様になっている。
知人のアメリカ人ジャーナリストによれば、アメリカの山地の至るところに広がる本格トレイルコースでもジープ「ラングラー」などが走るハイレーティングルート以外なら、過酷なところも想像よりずっとイケていたとのことだ。
丸目のヘッドランプに縦スロットグリルのフェイスをはじめ、全体のスタイリングがジープらしさを感じさせるのもポイントが高いところ。日本市場で輸入車を選ぶ意味があるのはブランド、乗り味、ファッション性。このなかでファッション性は文化が下敷きとなるため、独自性が一番出るファクターだが、レネゲードはそこが高ポイントなのが良いところだ。
このレネゲードはクライスラーの親会社であるイタリアのフィアットが作るクロスオーバーSUV「500X」と兄弟車で、そちらも秋に日本デビューを果たした。
500Xもファッション性は高いが、デザインアイコンの元になった500に比べるとちょっとぼってりとした印象がある。レネゲードのほうがいろいろな意味で潔さがあり、個人的には日本で乗るならレネゲードのほうがお洒落だと思われた次第である。FWDなら300万円を切り、AWDでも350万円弱と、輸入車としては安価なのも魅力だ。