吉田沙保里が大学卒業してから約11年間所属したALSOK綜合警備保障を2015年いっぱいで退社すると発表したとき「自分への新しいチャレンジ」と表現し、来年からはフリーだと宣言した。この新しいチャレンジには、初めて本格的なマネジメント契約を芸能プロと結ぶことだろうと関係者の間で言われている。
「レスリング選手になる前にマネジメント契約を結んだ状態だった山本美憂や、その妹の聖子をのぞき、日本のレスラーでマネジメント会社と契約した選手はいません。五輪三連覇、世界16連覇して国民栄誉賞まで授与されている人ですから、取材や講演、イベント出演やCMをお願いしたいクライアントは山ほどいるのに、これまでプロのマネージャーがついたことがなかった。そのため、これまでも彼女へのアポイントを巡っては混乱が多かった。
リオデジャネイロ五輪で五輪4連覇を果たしたら、状況はもっと複雑になる。そのための対応策のひとつでしょう」(レスリング関係者)
今ではスポーツ選手がマネジメント会社やPR会社と契約するのは珍しくない。グローバル企業のIMGやマラソンの有森裕子が中心となって設立されたライツ、イベント事業やテレビ番組制作も手がけるスポーツ・ビズといったアスリート専門のマネジメント会社だけでなく、吉本興業やホリプロ、エイベックス・グループ・ホールディングスもスポーツ選手のマネジメントを専門に扱う部署や子会社がある。
なぜ、競技団体だけで選手のマネジメントをできないのか。それは、現在の五輪やスポーツを巡る権利関係が複雑になっているからだ。
「CM出演を依頼されても、五輪選手の場合はオリンピック委員会の公式スポンサーとの兼ね合いがあります。吉田沙保里のように日本オリンピック委員会(JOC)のシンボルアスリートになっている場合は、その活動との調整が必要です。守らないとならない項目がいくつもあるのですが、広告の素人がそれらをクリアしていくのは難しい。だから、吉田さんは基本的にALSOKかJOCの公式スポンサーによるイメージCMしか出演していないはず。
吉田さんについては、取材を申し込んでも混乱していて返事がないことも珍しくなかったので、プロがマネジメントするなら、そのへんの対応もできるようになるんじゃないですか」(一般紙スポーツ担当)
みずから選んだ新しいチャレンジが成功して、五輪4連覇となるのを日本中が楽しみにしている。