国際情報

中国の若者たちが使う流行語 「顔値」や「宝宝」の意味とは

上海の街並み

 言葉は生き物。当然ながら中国でも「流行語」は日々生まれている。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が解説する。

 * * *
 2015年の幕が閉じようとする中国では、やはり今年も各メディアが「2015年の流行語」を発表した。ベストテン方式が多いなか、どのランキングにも入ってくるいくつかのワードを紹介しながら中国の一年を軽く振り返ってみよう。

 まず「剁手党」である。本来は鉈のようなもので切り裂くことを意味する言葉だが、流行語としての使い方は「ネットショッピング中毒者」である。

 中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日はネット通販サイトが大安売りをするイベントデーだが、2015年、ネット通販最大手のアリババ集団は1日で912億元(約1兆7000億円)を売り上げて大きな話題となった。対前年比で60%増の記録だったというが、こうした驚異的な売り上げに貢献したと考えられるのが「剁手党」だということだ。中国人の購買力の凄まじさは、”爆買い”を目の当たりにした日本人にも理解されるはずだ

 また若者が中心になって流行を生み出した言葉としては「顔値」(顔面偏差値)や、「宝宝」がある。「宝宝」は、驚いたときに使う言葉として広く世代を超えて広がったが、とくに意味はないという。

 そして注目は「互聯網+」、「獲得感」、「創客」の三つの言葉。いずれもランキングのベストスリーに定着している。

 最初の「互聯網+」はインターネットを意味する「互聯網」に「+」を付けたことで、インターネットを使ったイノベーションによって新しい経済発展状態を生み出すことを意味している。2015年3月5日に李克強首相が「政府活動報告」のなかで使ったのがルーツである。

 国の指導層から生まれた流行語という意味では「獲得感」も同じである。こちらのルーツは習近平国家主席で、2015年2月27日の党中央全面深化改革領導小組第10回会議である。この言葉の意味は比較的想像し易いものだが、国民が獲得できる満足感の指標のように考えられている。日本でかつて流行った「CS(顧客満足度)」にも似ている。

 そして最後は「創客」である。イノベーションを意味する「創新」に「客」を加えて、イノベーションによって自分人生を劇的に変化させることに成功した人を指し使われる。

 興味深いのは、この言葉も生みの親が李克強首相で、最初に発せられたのが2015年3月5日の「政府活動報告」だということだ。

 いずれも習近平指導部が重視する政策――産業界にとってはイノベーションが、政治的には民生重視が――を色濃く反映されていることが理解できる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(左から)豊昇龍、大の里、琴櫻(時事通信フォト)
綱取りの大関・大の里 難敵となるのは豊昇龍・琴櫻よりも「外国出身平幕5人衆」か
週刊ポスト
セ・リーグを代表する主砲の明暗が分かれている(左、中央・時事通信フォト)
絶好調の巨人・岡本&阪神・サトテルと二軍落ちのヤクルト村上宗隆 何が明暗を分けたのか
週刊ポスト
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《広末涼子逮捕のウラで…》元夫キャンドル氏が指摘した“プレッシャーで心が豹変” ファンクラブ会員の伸びは鈍化、“バトン”受け継いだ鳥羽氏は沈黙貫く
NEWSポストセブン
過去に共演経験のある俳優・國村隼(左/Getty Images)も今田美桜の魅力を語る(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
《生命力に溢れた人》好発進の朝ドラ『あんぱん』ヒロイン今田美桜の魅力を共演者・監督が証言 なぜ誰もが“応援したい”と口を揃えるのか
週刊ポスト
大谷翔平(左)異次元の活躍を支える妻・真美子さん(時事通信フォト)
《第一子出産直前にはゆったり服で》大谷翔平の妻・真美子さんの“最強妻”伝説 料理はプロ級で優しくて誠実な“愛されキャラ”
週刊ポスト
「すき家」のCMキャラクターを長年務める石原さとみ(右/時事通信フォト)
「すき家」ネズミ混入騒動前に石原さとみ出演CMに“異変” 広報担当が明かした“削除の理由”とは 新作CM「ナポリタン牛丼」で“復活”も
NEWSポストセブン
万博で活躍する藤原紀香(時事通信フォト)
《藤原紀香、着物姿で万博お出迎え》「シーンに合わせて着こなし変える」和装のこだわり、愛之助と迎えた晴れ舞台
NEWSポストセブン
川崎
“トリプルボギー不倫”川崎春花が復帰で「頑張れ!」と声援も そのウラで下部ツアー挑戦中の「妻」に異変
NEWSポストセブン
最後まで復活を信じていた
《海外メディアでも物議》八代亜紀さん“プライベート写真”付きCD発売がファンの多いブラジルで報道…レコード会社社長は「もう取材は受けられない」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
「週刊ポスト」本日発売! ゴールデンウィーク大増ページ合併号
NEWSポストセブン