「抗日ドラマ=共産党のプロパガンダ」という評価は、現在、必ずしも正確ではない。むしろ、今の中国では純粋に有望な「ビジネス」として制作される面が大きい。
そもそも中国のテレビ番組は、テレビ局主体で制作する日本と違い、制作会社が作品を企画・制作し、全国約500局あるテレビ局に販売している。また現在、中国のテレビCMの市場規模は10兆円を超える巨大市場と化しており、番組づくりにおいては日本以上に「市場原理」が働くことになる。そこに、中国政府の意向が絡むので事情はさらに複雑だ。
中国での番組づくりは「許可制」で、国の審査が企画段階と番組完成後の2回ある。当局の許可が下りなければ世に送り出すことはできない。その審査基準は明文化されていないことが多いため、制作側は国の意向を自ら研究・分析し、憶測するしかないのが実態だ。
※SAPIO2016年1月号