「序列」はどこの世界にも存在する。サミット(先進国首脳会議)の恒例行事である各国首脳の記念撮影。実はこの「立ち位置」にも国際儀礼に則ったルールが存在している。
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2015年6月に開催されたドイツ・エルマウサミットの記念写真。中央は主催国ドイツのメルケル首相。その両脇をアメリカのオバマ、フランスのオランド両大統領が固め、さらに両サイドに各国首相が並ぶ。日本の安倍首相は左端から2番目と隅に追いやられた感があるが、これは国際儀礼に則った正規の立ち位置だという。
「記念撮影は、開催国を中心に、内側から国家元首(大統領)、首相の順で並びます。同格の場合は、在任期間が長い順から中央寄りに並びます」(外務省経済局政策課)
当時、安倍首相は在任2年半(2012年12月~)。首相の中ではイギリスのキャメロン首相(5年)に続き序列は6位だった。だからこそ、メルケル氏→オバマ氏→カナダ・ハーパー首相に次ぐ中央から左に向かい3人目に位置し、安倍氏よりも外側には(常に端を占める)EUのトゥスク欧州理事会議長しかいない。首脳として序列が安倍氏より下だったのは、在任期間が短いイタリアのレンツィ首相の7位だった。なお、期間をあけて複数回、大統領や首相を務めても在任期間は合算されない。
並び順については主催国が事前通達し、現場でも担当者の誘導があるようだ。
ところが、1983年の米・ウィリアムズバーグサミットでは、慣例だと序列6位の中曽根康弘首相が同3位のイギリス・サッチャー首相を差し置き、主催国(レーガン大統領)の隣に入り込む“事件”が発生した。約30回のサミット取材経験があるジャーナリスト・嶌信彦氏が内幕を語る。