昨年のマンション市場は、都心部を中心に高騰する新築分譲価格、中国人の買い漁り報道、そして杭打ち偽装で資産価値下落の実態が話題になるなどしたため、マンション購入をためらった人も多いはずだ。
では、2016年は「買い時」といえるのだろうか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がズバリ予測する。
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2015年、新築マンションの販売は総じて好調だったと言える。また、中古マンションも活発に取引された。価格も上がった。さらに、数千万円から数億円規模も「収益モノ」と言われる1棟売りのアパートやマンション、ビルなどもよく動いた。東京の都心エリアで不動産に関わる業界人にとっては、とんでもないフォローの風が吹いていた、と言える。
さらに、都市力を高めている福岡や震災復興需要に沸く仙台、「御所バブル」と呼ばれる地域限定の不動産ブームが起きている京都なども、不動産価格が目に見えて上昇した。ただし、地域はかなり限定されるので、私は「局地バブル」と呼んでいる。
では、2016年はどうだろうか?
まず、どんなバブルも必ず弾ける時が来る。それは、もしかしたら2016年なのかもしれない。
この局地バブルが崩壊しそうな予兆はいくつかみられる。それを解説する前に不動産の「バブルとは何か」という定義をしたい。これには、私の知る限り広く社会に認められた言い方や決まりがあるわけではない。
私は、不動産の取引価格が、グロス利回りにして4%未満にまで上昇したら「バブル」だと考えている。例えば、5000万円のマンションを購入して賃貸に出した場合、得られる賃料から諸々の経費を除いて200万円に達しないと、この5000万円という価格が「バブル化」しているのだ。
4%ということは、ずっと賃料が入り続けて25年で元が取れる。その時、購入したマンションは少なくとも築25年になっている。
その25年の間に様々なリスクが生じる。地震や火災はもちろん、入居者が自殺したり殺されたりする可能性もある。おかしな人が借りてゴミ屋敷にしてしまうかもしれない。上階の住人が騒音を出すので、入居者が次々に退去することもあり得る。そういったリスクをすべて背負って、なおかつずっと賃借人がいて4%しか利回りがないのでは、とても健全な投資とは言えない。
私が考える健全なマンションの価格は、投資利回りがグロスで5%から8%。10%を超えると割安だと思う。5%なら、少々お高い感じだ。しかし、これはモノと場所による。誰もが住みたがる東京の港区青山エリアなら、5%でも買いだ。地方都市の駅から遠いマンションなら、10%でも慎重に考えるべきだ。