皇室の元日は祭祀が目白押し。迎えた1月1日の朝。まだ薄暗く肌寒い、5時30分に四方拝という祭祀が始まる。宮中三殿の西側に位置する、神嘉殿南庭のかがり火の中、地面に敷かれた畳の上で、陛下は伊勢の神宮、山稜、四方の神々に拝礼される。
「天皇陛下の遙拝は、五穀豊穣、国民および国家の安寧を祈る宮中祭祀です。同時に、陛下が最も重要視している私的祭祀でもあり、“重儀”と呼ばれます。
陛下は赤茶色の装束、黄櫨染御袍を身にまとい遙拝されます。皇后さまもお出ましになりますが、陛下とご一緒するわけではなく、別室にて祈りを捧げています。両陛下ともに寒い中、大変な思いをされて、国民のために祈りを捧げているのです」(皇室ジャーナリストの神田秀一さん)
それが終わると、陛下は宮中三殿それぞれに祀られている天照大神や歴代天皇・八百万神の御霊などに拝礼する歳旦祭に臨まれる。
その後始まる、新年祝賀の儀では陛下は燕尾服、美智子さまはローブデコルテ姿で皇族、内閣総理大臣、閣僚、宮内庁職員など、次々と訪れる人たちから新年の挨拶をお受けになる。待っている人たちの部屋を回るなど、数時間の間ずっと立ちっぱなしで、挨拶をする人数はのべ600人以上にのぼる大仕事だ。
「午前9時過ぎから始まるこの儀式ですが、あっという間にお昼を過ぎます。両陛下や皇族は、合間を見て飲み物やサンドイッチなどの軽食を召し上がる。ゆっくり昼食をとれるわけではなく、休憩などもできません」(神田さん)
【天皇陛下の元日のスケジュール】(平成27年1月1日のスケジュール 宮内庁HPより)
5時30分 四方拝
5時40分 歳旦祭(御代拝)
9時05分 祝賀及びお祝酒(侍従長始め侍従職職員)
9時30分 晴の御膳
9時45分 祝賀(長官始め課長相当以上の者、参与及び御用掛)
10時00分 祝賀の儀(皇太子同妃お始め皇族各殿下)
10時10分 祝賀(元皇族、御親族)
10時15分 祝賀(未成年皇族)
11時00分 祝賀の儀(内閣総理大臣等)
※女性セブン2016年1月7・14日号