ビジネス

「民泊元年」の2016年 ホテル化するマンションを避ける方法

自分のマンションが宿泊者だらけになったらどうする?

 インバウンド(海外からの旅行客)の激増と政府の容認姿勢により、2016年は住宅などの空き部屋を有料で貸し出す「民泊元年」になりそう。宿泊料で儲ける富裕層には朗報だが、ある日突然自分の住むマンションに、外国人が大勢泊まりに来られると、戸惑ってしまうのは一般庶民だ。

 では、どんな物件が民泊になりそうなのか? 民泊に使われるのを避けるためにはどうすればよいのか? 一般人にとっての民泊対処法を住宅ジャーナリストの榊淳司氏が徹底ガイダンスする。

 * * *
 2015年、日本にやってきたインバウンドは2000万人前後に達した模様だ。彼らが大挙して押し寄せているのは、東京や京都などの観光スポットだけではない。地方の温泉地にも、北京語を話す人々が陸続とやってくるようになった。

 その結果、足りなくなったのが宿泊施設。インバウンドはこの5年間で2.3倍という急増ぶり。これに対して旅館やホテルなどの宿泊施設はさほど増えていない。特に旅館は減少傾向が続いてきた。

 東京や大阪、名古屋などの大都市では「ホテルが取れない」状態になっている。3年前なら5000円程度で宿泊できた大都市のビジネスホテルが、時に3万円にハネ上がっているケースさえ見られる。これは異常事態というべきだろう。

 そして、にわかに脚光を浴びてきたのが「民泊」。ホテルや旅館ではない普通の住宅に、有料で旅行客を宿泊させる、というもの。アメリカに本社があるAirbnbという企業がネット上でホスト(宿泊施設提供者)とゲスト(宿泊利用者)を結びつけるサイトを作り、世界に広めたことで一気に利用者が増えた。日本でも、2015年は爆発的に増加。メディアでも取り上げられるようになった。

 いくつか「事件」も起きた。東京ではAirbnbで宿泊したゲストの子どもが、バルコニーから転落して死亡した事件。京都では、ひとつのマンションの空室すべてを民泊で運営していた業者が、警察に摘発された。

 実は、民泊を反復継続的に行うことは、旅館業法に違反している。これを行うと半年以下の懲役もしくは3万円以下の罰金が科される。警察が旅館業法違反者を摘発した例はさほど多くないと思われるが、厳密な意味では違法なのである。

 しかし、2016年も増加を続けるであろうインバウンドの宿泊ニーズを、現状のホテルや旅館では吸収しきれないのも現実だ。首都圏周辺エリアのホテル建設は2020年の東京五輪をにらんで急ピッチで進んでいるようだが、インバウンドの増加には追い付いていない。

 一方、日本には約820万戸の空家がある。これをインバウンドに対する宿泊ニーズに充てれば、目先のホテル不足は解消できる……という見方がある。実際、そうでもして宿泊できる施設を増やさない限り、急増するインバウンドを吸収できない。

 民泊を合法化するシステムも動き出している。2014年に定められた国家戦略特区に限っては、自治体が条例を定めることで民泊が認められる。2015年には東京都大田区と大阪府で民泊条例が定められた。さらに、普通の住宅が合法的に民泊で活用できるように、政府は「簡易宿所」の届け出基準を緩和する方針だという。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン