八咫烏をあしらった勝守(熊野那智大社提供)
「勝負は時の運」というように、実力があってもケガや不運で活躍できないこともある。それだけに神様にすがるスポーツ選手は少なくない。多くのサッカー関係者が勝ち運を求めて参拝に訪れるのが、京都市にある「白峯神社」だ。
蹴鞠の宗家だった公家・飛鳥井家の屋敷の跡地に立っており、境内には鞠の守護神・精大明神の社がある。春季大祭が行なわれる4月14日と精大明神例祭が行なわれる7月7日に、境内で京都蹴鞠保存会による蹴鞠が奉納されることで知られている。
「サッカー、野球、ソフトボール、バレーボール、バドミントン、テニス、バスケットボール、ラグビー、ゴルフなどさまざまな球技の選手が参拝に来られます。
プロ選手はもちろん、アマチュアチームも多いですね。地元である京都サンガFCのオーナーもいらっしゃいました。サッカー関係者の参拝は、1993年にJリーグが発足してから急に増えました。毎年というわけではなく、成績が悪くなるとお見えになるようですが(笑い)」(粟田口幹男宮司)
チームの必勝を願うサポーターの参拝も多く、祭殿には夥しい数のボールのほか、サムライブルーのフラッグも奉納されている。
一方、日本サッカー協会幹部も参列する公式行事が行なわれるのが、和歌山県にある熊野三山(熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社)である。日韓大会以降、W杯前には必ず祈願祭が行なわれている。
熊野那智大社が鎮座する那智勝浦町は、“日本近代サッカーの始祖”と称される中村覚之助氏の出身地である。日本サッカー協会関係者がここを訪れるのは、協会のシンボルマークに描かれている「八咫烏」と呼ばれる三本足のカラスが信仰の対象になっているからだ。
八咫烏には、神武天皇の東征に際し軍隊を熊野から大和に道案内したという伝説がある。そのため太陽の化身とも導きの鳥ともいわれ、熊野三山では信仰の対象になっている。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号