“さくらパパ”の愛称で知られる横峯良郎氏が、娘のさくらや瑠依と同じくプロゴルファーになっていた。アジアンシニアPGAツアーのQTを通過し、年間10試合、アジア各地を転戦中である。
かつて良郎氏のスコアは90ほどの腕前だった。そんな彼がプロのQTを通過できるまでに腕を上げたきっかけは、自身が患った大病だった。良郎氏が語る。
「2014年に心筋梗塞をやったのよ。寝ている時に脂汗が出るほどの胸の痛みが出てきて、おかしいと思ってすぐに病院に行った。心臓の太い血管の1本が詰まりかけていたよ。あと数日間、我慢していたら手遅れだった。
これまで家族を食べさせようと必死で働いていた時は自分の体のことなんて考えなかったけど、大病をすると考えが変わるもんだね。この先は健康に生きようと思った。どんな病気でも対処法は食に気を遣うこと、そして歩くこと。だからゴルフともう一度真剣に向き合うことにした」
そこから目の色を変えて練習に取り組んだという。
「俺はこんな性格だから漫然とやっててもダメ。テストに合格するためにも、健康のために歩くという意味でも年間250ラウンドした。全部フルバックからだ。そうすることで14本のクラブを使い分けることを覚えたし、コース戦略も考えるようになった。ツアーの優勝賞金? 50万円くらいだからこれだけじゃ生活はできない。あくまでゴルフは健康維持が目的だよ。でもプロになる目標が達成できたのは嬉しいね」
かつては不祥事にまみれ、批判を浴びたパパ。しかし死の淵から生還したことで人間が変わったようだ。
「50歳を過ぎてから考えるのはいかに健康に生きられるか。俺はこれからは真剣に生きようと決意したよ」
そういって爽やかに笑う。パパのいうとおり、大病は人を変えるようである。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号