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李登輝氏「安保法制は台湾、東アジア安定に寄与する」と指摘

李登輝氏 撮影/黄威勝

 台湾統一を狙う中国。その後は、「尖閣諸島、沖縄へと触手を伸ばしてくる」と李登輝元台湾総統は警告する。李登輝氏は、安倍政権が昨秋成立させた安保法制についてどう見ているのか。

 * * *
 中国はこれまでも東シナ海の資源開発を進めてきたが、最近、それをいっそう活発化させてきた。東シナ海では少なくとも計16基の構造物が確認されているという。これは地理的、経済的な目的だけでなく、軍事面での目的があるのは明らかだ。南シナ海での岩礁埋め立て問題も同様である。
 
 中国が軍事増強を進める背景にある最終的な目標は台湾の統一だ。台湾が中国に侵略されたら、最も打撃を受けるのは日本であることを忘れてはならない。台湾の次は尖閣諸島、沖縄へと触手を伸ばしてくる。
 
 中国は弱い相手にはとことん押しまくってくる。一方で、相手に強く出られた場合には黙る国だ。南シナ海の南沙諸島を一方的に埋め立てるなど、フィリピンとの間で紛争を激化させてきたが、米国は「航行の自由作戦」に踏み切った。
 
 このとき重要なのは安倍首相が「国際法にのっとった行動であると理解している」と即座に米国の行動を支持したことだ。また、安倍首相がリーダーシップを発揮して成立させた安保法制は日本のみならず、台湾や東アジアの安定に大きく寄与するだろう。

【PROFILE】 1923年台湾生まれ。旧制台北高校、京都帝国大学農学部で学び、戦中は志願兵として高射砲部隊に配属された。終戦後台湾大学に編入し卒業。台北市長、台湾省主席、副総統を経て1988年に総統就任。1996年、台湾初の総統直接選挙で当選し、2000年まで務める。著書に『指導者とは何か』(PHP研究所)ほか多数。

※SAPIO2016年2月号

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