爆発的な小説の売り上げを誇る一方で、度重なる暴言、失言の類いで世の顰蹙を買っている百田尚樹氏。ツイッターが度々炎上したことでも有名だが、そもそも「いらんこと言う性分」なのだという。プロインタビュアーの吉田豪氏が、百田氏に斬り込んだ。
──これだけ自由に発言してる人とNHKの仕事(経営委員)はなかなか食い合わせも悪いだろうなとは思ってました。
百田:そうですね(笑)。だからあのあと、講演に行こうが、選挙応援に立とうが、どこ行っても新聞記者がおって、「こいつ絶対なんか言うやろ」ってマークされて。で、私もまた書かれるのがわかっているのに、いらんこと言うんですよね。
──言わなきゃいいじゃないですか(笑)。でも、そこで言わずにいられない。
百田:言っちゃうんです。もう全方位です。以前はツイッターでも作家を敵に回すようなことを書いてました。「作家は、なんでみんな同じの書くねん!」とか。
──百田さんの作風がバラバラなのはわかりますけど、ほかの人のことはいいじゃないですか(笑)。
百田:おっしゃる通りです。でも言ってしまう。で、ミステリーの悪口とかも書いてしまう。「人が死にました、犯人誰でしょう、なんやねん、この下らん話」とかね。また「時代小説の作家って、書くものなくなったら最後は必ず『三国志』かよ!」とか。それでよく作家や編集者に怒られました。
──それで百田さんが『三国志』を書いたらいいオチになりますけど(笑)。作家仲間っているんですか?
百田:いませんよ(笑)。
──やっぱり!
百田:いるわけないやないですか。作家のパーティーとか授賞式とか一切行かないんで、作家の知り合いはほとんどいないんですよ。でも私、2月で60ですからね。この仕事もせいぜいあと数年だと思うんで。人間、言いたいこと言いたいじゃないですか。70になったらたぶんエネルギーも体力も……そこまで生きてるかどうかもわからないですしね。最近はいつ引退しようかなと思ってるんで。
【プロフィール】ひゃくた・なおき:1956年大阪生まれ。同志社大学中退後、放送作家になり、『探偵!ナイトスクープ』のチーフライターを務める傍ら、2006年に『永遠の0』を発表し、小説家デビュー。『永遠の0』『海賊とよばれた男』『夢を売る男』『フォルトゥナの瞳』などのベストセラーを連発。2015年には初の新書『大放言』も話題になった。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号