グローバル化が進み、企業は外交政策の影響を受けやすくなった。特に航空会社への影響は大きい。ANAホールディングスの大橋洋治相談役(75)は、歴史問題などでギクシャクする中国との付き合い方についてこうアドバイスする。
「日本は向こう三軒両隣と仲良くするのが昔から苦手で、明治時代以降はずっと喧嘩ばかりしてきました。経済だけでなく、政治においてももっと仲良くしていくことが必要です。たしかにトップの習近平国家主席は覇権主義をとっている。しかし、それが正しいかどうかはともかく、グローバル化というのは、相手の国がどういう国なのかを認め合って付き合っていくこと。長い目で見れば、中国も変わってくるはずですよ」
日本にとって最も重要なのは、アメリカ以上に、隣国である中国との関係だとする大橋相談役。“爆買い”が話題になっているように、経済規模の大きい中国の需要をつかむことが、今後より一層日本企業が競争を勝ち抜くカギとなりそうだ。さらにANAの今後については、独自のグローバルな視野を披露してくれた。
「ANAは1986年、私が常務になる頃にやっと国際線が飛び始め、最近我々も、ようやくグローバルな考え方がわかってきた。それをさらに継続し、いずれは空のシルクロードを築いて、ANAを雲の上の世界一と呼ばれる会社にしたい。これからは中国だけでなく、モンゴルにも飛んでほしいし、イスタンブールにも飛んでほしい。その実現が私の夢であり、ライフワークです」
さらに大橋相談役は最近の若者に“喝”を入れる。
「最近の若手社員は、なんでもすぐに答えを求めたがる。ですが、仕事の上では選択肢にない答えを導く柔軟さが求められる。仕事をこなしていくなかで、これから学んでほしいですね」
※週刊ポスト2016年1月15・22日号