当代きっての人気小説家ながら、度重なる暴言、失言の類いで世の顰蹙を買っている百田尚樹氏。時々発生するツイッターの炎上でも有名だが、本を出す以上は「売れてなんぼやと思います」、そう言い切る。プロインタビュアーの吉田豪氏が斬り込んだ。
──ちなみに、あの蛭子能収さんが『永遠の0』の映画を観て泣いたっていう。
百田:そうなんですか!
──あの心のない蛭子さんが泣いたんですけど、監督に会ったとき、「でもね、泣いたからっていい映画とは限りませんよ」って余計なことを言ってて(笑)。
百田:現代人はそういう自意識があるんですよね。泣いたら、良かったんですよ。でもそれを頭で「違う、涙と感動は別や」とか言うんですよね。全然素直じゃない。本とか映画を学問と勘違いしてる。編集者やなんかが、「面白くないのになぜ人気があるのかわからない」とか言いますけど、当たってる作品は普通に面白いですよ、朝ドラにしても。『半沢直樹』も面白かった。
──じゃあ今後、百田作品がもし売れなくなったら?
百田:即引退! 私はデビューした時から3作連続で重版かからなかったら引退って決めてるし、公言してます。重版かからないってことは、「お前の本は誰も喜ばなくなったよ」ってことだから、それでも書きたかったらブログに書きます。
──最後に個人的に興味あること聞いていいですか?
百田:はい、どうぞ。
──初体験はいつですか?
百田:……え!? いや、それはちょっと、さすがに。
──早いほうでした?
百田:ふつうやと思いますよ。ツイッターでも僕はなんでもかんでも書いてると思われていますが、実は自分のなかで基準があって。他人の話は書かないんです。
──へんずりならいいけど、初体験だと他人が絡んじゃうってことですかね。
百田:はい。初めてのへんずりはいつかなら、なんぼでも言いますけどね(笑)
【プロフィール】ひゃくた・なおき 1956年大阪生まれ。同志社大学中退後、放送作家になり、『探偵!ナイトスクープ』のチーフライターを務める傍ら、2006年に『永遠の0』を発表し、小説家デビュー。『永遠の0』『海賊とよばれた男』『夢を売る男』『フォルトゥナの瞳』などのベストセラーを連発。2015年には初の新書『大放言』も話題になった。
※週刊ポスト2016年1月15・22日号