首都圏のマンション市況は新築物件の供給が減ったこともあっても中古市場が活性化している。今後の市況について、東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。
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中古マンションの価格は新築マンションの価格上昇に連動して上がる特性がある。このため現在、首都圏では中古価格が2014年から現在まで毎月のように右肩上がりで上昇しており、中古物件も買いにくい環境になってきている。
とりわけ都心や23区内の人気エリアでは毎月の価格上昇が著しく、中古物件も高値圏で買えないという状況までみられる。23区の中古マンション70平方m換算価格の推移をみると、2014年1月に4100万円台だった価格が、2015年9月には4900万円台まで上昇しており、新築物件とそれほど変わらない価格帯にまで接近している。
中古物件価格は23区ではほぼ全域的に2008年のミニバブル期の水準超えを果たしている。売る側にしても高すぎて売りにくい状況でもあり、そろそろ価格が少し下がって落ちつくタイミングと考える不動産関係者も多いようだ。私もそう思う。そのタイミングの一つとなるのが、新築物件の供給増ではないか。
2017年4月に消費再増税が実施されると考えれば、駆け込み需要を狙って2016年から、一次取得者にも手が届く低価格水準の新築物件が登場することが予想される。安い新築物件が大量に出てくれば、中古物件の価格は徐々に下がる可能性もある。
とはいえ、新築、中古ともに価格が下がったとしても、2020年には東京オリンピックが控えており、急激な下落ではなく、マイルドな下げになると思われる。
2016年のマンション市場は、新築物件が主役に返り咲くだろう。早ければ来年1月から価格を下げた新規プロジェクトが出てくるなど、そう遠くない将来に手ごろな新築物件がさまざまなエリアで大量に供給され始めると考える。
ただし、新築市場が本格的に活性化するのは、再増税に向けて住宅ローン減税や補助金などの優遇措置の行方が固まる3月以降と思われる。新築マンションを買いたいと思っている人には、供給面でも価格面でも買いやすいタイミングが到来すするが、国がどのような優遇策を打ち出してくるのかもチェックしておきたい。
※マネーポスト2016年新春号