中国の習近平国家主席が昨年1年間で訪れた国は14か国で、1949年10月の中国共産党政権発足以来、これまでで最も外遊した中国の最高指導者となった。ちなみに前任者の胡錦濤元国家主席は10年間の在任中、訪問した国はわずかに7か国だった。
これは中国が世界で最高の国となるという習氏の「中国の夢」を実現するには、米国と対抗し、中国の国際的ステータスを上げるとの思惑が働いているためとみられるが、ネット上では「どんどん外遊して、世界の指導者に日本の悪口を言い触らせ」との書き込みもみられる。
習主席が昨年1年間で訪問した国々はパキスタン、インドネシア、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、米国、英国、ベトナム、シンガポール、フィリピン、トルコ、フランス、ジンバブエ、南アフリカの14か国。海外訪問日数は42日間で、米国のオバマ大統領の11か国より多く、ロシアのプーチン大統領と並ぶ。
この外遊中に調印した経済案件は総額1300億ドル(約15兆6000億円)で、エアバス旅客機70機購入の「爆買い」が話題になった。
さらに、大きな批判を浴びたのがアフリカの経済発展のために今後3年間で600億ドル(約7兆4000億円)を拠出すると表明したこと。ネット上では「外遊してお金をばらまかないで」や、「中国の貧困問題や環境問題、医療、教育などさまざまな問題解決を優先すべきだ」など、習氏に批判的な書き込みが見受けられる。
これについて、中国各紙は専門家の話として、「習近平主席は間違いなく外交活動に積極的な指導者である、途上国への経済支援や先進国とのビジネスなどによって中国の対外的な影響力を強化することにつながる」との談話を掲載したうえで、「米国と同等か、それ以上の大国としての中国の威厳を示す狙いがあるのでは」と結論付けている。
また、ネット上では習氏が訪問した諸外国の最高指導者に対して、沖縄県尖閣諸島について、「中国の主権問題であり、日本が違法に占拠している」などと繰り返し主張していることから、「外遊の目的は日本の悪口を言い触らすためだ」などとの書き込みもみられている。
ところで、日本の外務省のホームページによると、安倍晋三首相の昨年1年間の外遊は12回で習氏に及ばないものの、訪問国は21か国で、訪問日数は57日間と習氏をしのいでいる。特に、昨年11月は国会の関係で、外遊日程が15日間と1か月の半分を占めた。