NHK朝ドラ『あさが来た』の高視聴率が続いている。いよいよ、後編にさしかかるなか、当ドラマの番組エグゼクティブプロデューサー・佐野元彦さんに前編の見どころを聞いてみた。
まず、一つ目の見どころとして挙がったのが、「あさとはつの戸板越の会話」シーンだ。
【白岡あさ・眉山はつ(第26回)】
はつの嫁ぎ先・老舗両替屋の山王寺屋がつぶれ、一家は夜逃げした。あさは、行方不明の姉を捜し回って、貧しい長屋で暮らすはつを見つけた。はつは屋内へ逃げ込み、内側から戸を押さえ「あんたの顔なんか見とないの!」と突っぱねる。あさがあきらめて帰った後に「…違う。うちが、会わせる顔あらへんのや。堪忍。堪忍…あさ」と涙を流してつぶやく。佐野さんはこの名場面を以下のように語る。
「同じように育った姉妹なのに人生が正反対になってしまう。人生はかくもこう流れる場合があるんだなと、すごく好きなシーンです。このシーンは、『ここでふたりの人生の運命を感じさせる』という必要性がありましたから、脚本の大森美香さんと相当話し合って作りました。当分会えなくなるであろう姉妹が、戸板越しに、どんな言葉でどうやって話すのか。お2人がすごくいい芝居をしてくれたので、印象深いです」
もう一つの見どころが、「正吉と新次郎の“雪どけ”親子会話」の場面だ。
【白岡新次郎・白岡正吉(第71回)】
正吉が両替屋を営んでいたことで、幼少期に友達・サトシを酷い目に遭わせ、自身もつらい目に遭った新次郎。そのサトシが起こした事故がきっかけで、新次郎は病床の正吉と初めてきちんとお互いの本音を打ち明けて話し合う。佐野さんは、このシーンの見どころを以下のように語る。
「サトシという人物を挟んで、お互いが気まずい思いをしたことを話しただけでなく、その中で、これからのことも話しました。つまり、父から息子への遺言ということなんですけども。ずっと続いてきた親子の確執が溶ける。そんな心が溶け合うシーンがとても好きです」
※女性セブン2016年1月28日号