近年、「葬式革命」を目指す新興ベンチャーにより、葬儀業界が大きく変わりつつある。葬儀についてはよく分からないうちに次々と追加料金が発生することもあるなど、価格の不透明さについてはかねてより言及されてきた。そして、葬儀ビジネスに新規参入した企業は「定額制」による料金の透明化を打ち出し、シェアを広げている。
例えば、大手小売りチェーンのイオンが、「追加料金なし」を掲げて定額プランを打ち出したり、ベンチャー企業のユニクエスト・オンラインが最安プランを19万3000円に設定するなど、格安サービスが次々と提供されている。また、これまでタブーとされてきた「お布施の透明化」に踏み込む新興企業も登場している。
他にも、これまで考えられなかったサービスが次々と生まれている。
みんれびは四十九日や一周忌といった法事(法要)で読経する僧侶をインターネット経由で手配できるサービス「お坊さん便」を展開する。昨年12月からは、ネット通販サイトAmazon経由でも発注ができるようになった。みんれびの広報担当者はこういう。
「法要などでお経を読んでもらった際に支払うお布施は、一般に3万~5万円といわれていますが、それと別にお車代なども包まなければならないことが多い。そうした分かりにくさをなくすため、『お坊さん便』では全国一律の定額を実現しました」
自宅への訪問のみであれば3万5000円、墓地への移動を含む場合は4万5000円といった具合だ。
「生前に申し込んでおけば葬儀料金が割引になる」サービスも登場した。
ユニクエストは2014年5月から、コンビニで500円支払って申し込みをしておくと、葬儀費用(寺院手配付き)が最大6万6000円安くなる「早割」のサービスを始めた。まるで航空チケットの割引サービスのようなネーミングだが、同社広報部はこう説明する。
「500円で加入できる葬儀の掛け捨ての保険のようなものとお考えください。申し込みから3年間は葬儀費用が割引になり、1年ごとに割引額が増すシステムです。
ご家族が亡くなってから慌てて葬儀を手配すると、サービスを選ぶ余裕がなかなかできません。落ち着いた状態で選んでいただくための『早割』なんです」
業界の慣習を破壊するサービスが次々と生まれている。
※週刊ポスト2016年1月29日号