社会問題化する子供の不登校。実際にその問題と直面した際に、どう対応していいのかわからないという母親も多いだろう。2006年に開校した大阪市立大空小学校初代校長で、2015年に退職後、全国各地で講演活動を行っている木村泰子さん(65才)が、不登校との向き合い方をレクチャーする。
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「すべての子供の学習権を保障する学校をつくる」という学校理念のもと、大阪市立大空小学校の初代校長を開校から9年間務めました。
最近の学校は、頑丈なスーツケースみたいです。長い棒は、端っこをポキンと折らないと入れない。まん丸の大きいボールを入れれば、フタが閉まらない。つまり、学校が子供の個性を尊重しない。学校の理想通りの子供以外は認めないんです。ですから、学校のニーズに合わない子は大変です。
大空小学校を、そんな場所にしたくなかった。学校をすべての子供の居心地のいい場所にするため、校則やマニュアルはつくらず、「たったひとつの約束」だけをつくりました。
「自分がされていやなことは人にしない、言わない」──それは、子供だけでなく、すべての教職員も守ります。
《結果として、大空小学校での不登校児はゼロ。学校の噂を聞いて、大空小学校に通わせるために、他県から校区に引っ越して来る不登校児を持った親もいるという》
多くの不登校児とその親からさまざまなことを学びました。子供が学校に行きたくないと言い出した時、親は、つい「怠けてる」とか「サボろうとしている」と思ってしまいがちですが、子供は困っています。
すると、胸が苦しくなったり、痛くなったりするのです。学校で保健室に行くと、「そんなところにつける薬はない」と言われる。しんどくなってもどこにも助けを求められないことが続くと、怖くて学校に行けなくなってしまうのです。
そんな子供に「どうして学校に行けないの」と周りの大人たちは理由を聞きますが、大人が納得するような理由を子供は言えません。その子が行けるようになるには、学校に安心して過ごせる居場所があるかどうかなのです。
大空小学校の場合、その子が安心して学校に来られるようにするため、「自分たちがどう変わればいいか」ということをいつもみんなで学び合っています。
学校に行けなくなった子供は悪くありません。責めないであげてください。お母さんは、自分や周りの子供が不登校児になったら、学校に伝えて、みんなで一丸となって安心できる居場所を学校につくることに全力で取り組んでください。
※女性セブン2016年2月4日号