ひと昔前までは「嫁姑の確執」などという言葉をよく耳にした。そうした関係は今どうなっているのか? 神奈川県の主婦(65才)がやりきれない思いを語る。
「結婚以来、ずっと夫の両親と同居していました。結婚当初は、お米の炊き方から扉の開け閉めまで指導され、『うちの嫁になったんだからうちのやり方で』と姑に言われ、きつく当たられました。家のために働け、跡継ぎになる男の子を産めなど、とにかくいろいろと言われ続けました」
葬式でもなければ実家へ帰ることもできなかった時代。それでも、嫁とはそういうものと思って務め上げ、数年前に義両親を看取った。結婚したふたりの息子夫婦とは良好な関係を築きたいと思い、嫁にはやさしく接している。
「それがよかったのか悪かったのか、お嫁さんは自分の実家ばかり大事にして、孫もあっちの家にだけ連れて行きます。“こっちにもたまには顔を出してほしいな”とちょっと言っただけで、息子から“嫁いびりはやめてくれよ”ですって。こんなことなら息子じゃなくて娘を産めばよかった」(同前)
夫の両親との同居が当たり前の時代は終わり、お盆やお正月といった行事そのものが簡略化され、実家に里帰りする人も減った。嫁が姑と顔を合わせる機会も少なくなっている。
漫画『もんぺ町 ヨメトメうぉ~ず』著者の倉田真由美さんは、結婚7年目の嫁。姑と最近会ったのはもうずいぶん前だ。
「お嫁さんにとっては良い時代ですよね(笑い)。うちも姑との関係が悪いわけじゃないけど、近くに住んでいるのにこの前会ったのは3~4年前。場所はファミレスです。
昔は、“長男とは結婚しないほうがいい”、“次男は楽”、みたいな考え方もあったけど今はそんなことも関係なくなっていますよね。私の周りを見ても姑と同居している人はほとんどいません。逆にお嫁さんが自分の両親と同居しているケースが多いです」
前出の主婦や倉田さんが言うように、今の時代、嫁が大事にするのは「夫の実家」ではなく「自分の実家」。安倍政権が推進する3世代同居も、検討している人の多くは、嫁が“自分の両親と同居したい”というものだ。
介護問題でも同じことがいえる。両親の介護は嫁の仕事という時代は今や昔。息子であれ娘であれ“実の子供が責任を持つ”というスタイルに変化してきている。
※女性セブン2016年2月4日号