連日繰り広げられる国会論戦では、野党側に工夫も迫力もなく、「一強総理」に死角は見当たらない。だからなのか「総理のテンションが普通じゃない」──そんなふうに周囲で囁かれることが増えている。
そんな安倍晋三・首相の尋常ならざるプラス思考のきっかけとなったとされるのが、朝日新聞が安保法制成立後の昨年11月に行なった自民党員への世論調査だった。
同調査では、「歴代で最も評価する総裁」の項目で安倍氏が2位の小泉純一郎氏、3位の田中角栄氏を抑えてトップに立った。小泉氏は内閣支持率が最高80%台という自民党首相の記録保持者で、田中氏は在職中、「今太閤」と呼ばれて国民の圧倒的支持を得た。安倍首相は2人を抜いた結果に大喜びし、“天敵”と見ていた朝日の担当記者たちを公邸に招いて酒食を振る舞ったという報道もある。
「安倍総理は安保法制を成立させ、首相在任期間ですでに祖父の岸信介・元首相を抜いた。そのうえ人気のある角さんと目標だった小泉さんより高い評価を得たことで“自分の道は正しい”と長期政権への自信を深めた。それ以来、テンションが下がらずに強気一辺倒になっている」
側に仕える官邸スタッフたちにはそう映っている。
※週刊ポスト2016年2月5日日号