大相撲初場所はケガで“戦線離脱”する力士が続出し、10年6か月ぶりに休場者が10人を超える異常事態のまま幕を閉じた。なかでもショックが大きかったのが角界一の人気を誇る遠藤(前頭11)の休場だった。
遠藤は初場所7日目の1月16日、「右足首の捻挫」のため無念のリタイア。来場所の十両陥落は確定的だ。
さらに昨年春場所に痛めた左膝半月板手術の必要性も浮上しており、「来場所も全休すれば一気に幕下にまで落ちかねない」(相撲ジャーナリスト)という。
師匠の追手風親方は、
「十両転落なんて本人は一向に気にしてない。相撲が取れる体に戻すことが大事だから、いまは焦らず治療に専念するだけ」
と再起に自信を見せるが、周囲は気が気ではないという。中でも頭を悩ませているのが遠藤をCMに起用する永谷園だ。同社は2013年12月から遠藤を「お茶づけ海苔」のCMに起用し、15日間を通して遠藤の全取組に5本の懸賞を提供し続けてきたが、休場で懸賞は取りやめとなり、十両に陥落すれば懸賞は懸けられなくなる。
もっとも、この懸賞が“ケガのもと”になるという指摘もある。
「勝てば手取りで1本3万円もらえるため、懸賞が多く付く力士との対戦では相手も目の色を変える。土俵際でも力を抜かない取組が増えるため、ケガをしやすくなるのは仕方がない。人気力士の“宿命”だ」(大相撲関係者)
ちなみに初場所では遠藤とともに永谷園が5本の懸賞を出していた大関・照ノ富士も6日目から休場。そうした“カネをぶらさげた力士”が出場しなくなると、他の関取にとっても痛手となる。
本人以上に周囲が気にする「遠藤の懸賞金」の行方について永谷園に訊ねた。
「懸賞はこれからも好取組には出します。遠藤関についてもこれまで通り(CM)起用していく考えで、応援し続けます。力士個人だけでなく、大相撲そのものを応援していくのが当社のモットーです」(広報部)
お茶漬けのようなアツい支援に遠藤は応えられるのか──。
※週刊ポスト2016年2月5日号