カリスマFXトレーダー・羊飼い氏が、外為市場の旬な話題をウォッチする連載「FXトレンドフォーキャスト」。2015年12月に実施された米国の利上げを受け、2016年内にも金融市場にショックが起こる可能性を、羊飼い氏は指摘する。そうした中でどのような投資戦略を考えるべきか。
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2016年のFXの基本戦略としては、積極的な投資よりも資産の防衛を重視したい。たとえ長期のポジションであっても、安心して買えるようなタイミングとは思えないし、むしろキャッシュポジションを増やしておく時期だと考えている。
羊飼いは日々のトレードのための資金と、長期で保有する外貨預金の資金を分けて管理しているが、外貨預金の110万米ドルは2015年夏から秋にかけて段階的にすべて円に替えた。
というのも、6月と8月の2回、1ドル=125円の上値を突破できずに押し戻されたため、短期的にこれ以上のドル高は難しいと判断したからだ。奇しくも半分を124円台で円に替えた直後にチャイナ・ショックが起こり、残りはその後の反発を利用し121円前後で円に戻した。いずれはこの資金で米ドルを買い戻す考えだが、しばらくは円のままにしておくつもりだ。
米ドル以外の通貨に目をやると、金融緩和の拡大を示唆するユーロや、アメリカの利上げに伴う資金流出が続く資源国や新興国の通貨も今は投資しにくい。特に豪ドルは、減速が懸念される中国経済に引きずられやすく、ダブルパンチに見舞われている状態だ。しかも長い利下げが続いており、通貨安とスワップ金利の低下が同時に起こるおそれもあるので、スワップ狙いの投資はリスクが非常に高くなるといえるだろう。
むしろ豪ドルは、ショート目線を持っておくことで利益のチャンスがあるかもしれない。クロス円では円安に引きずられる可能性もあるが、対米ドルなら比較的素直な下落が期待できる。豪ドル/米ドルのショート戦略は、2016年の為替相場でとりうる有力な選択肢のひとつといえるだろう。
2012年末に始まったアベノミクス相場は、まさしく「バカになって」米ドルをロングした投資家が「勝ち組」だった。しかし、ドル高一辺倒だったトレンドは今、重要な岐路を迎えている。FXは頭の切り替えが非常に重要で、過去の相場観やそれによる成功体験に囚われていると生き残るのは難しい。気持ちを引き締めて新しい年の相場に臨みたい。
※マネーポスト2016年新春号