今季最初のテニス4大大会、全豪オープンの話題は「八百長問題」一色に染まった。英BBCと米ニュースサイト「バズフィード」が、世界ランキング50位以内に入ったことのある16人の選手が、過去10年にわたり意図的な敗退をした疑いがあると報じた。
16人の中には4大大会の優勝者も含まれ、全豪オープンにも8人が出場しているとされる。現地で取材中のライター・山口奈緒美氏が話す。
「過去にも八百長行為で処分された選手はいましたが、ランキング下位の選手ばかり。しかし今回は疑惑に“トップ選手が含まれている”と報じられたため、大きな騒動となっています」
世界中を転戦するテニス選手には、自身だけでなくスタッフの分を含んだ遠征費の負担がのしかかる。年間10万ポンド(約1670万円)以上の赤字運営となる下位選手もいるという。彼らにとって、賭博組織が提示する5万ドル(約585万円)以上の八百長の報酬は魅力的だろうが、多額の賞金を得ているトップ選手の名が上がるのはなぜか。
「現在世界ランク1位のノバク・ジョコビッチが2007年に“20万ドル(約2340万円)で初戦敗退を持ちかけられた”と明かしたように、報酬は青天井。スポーツ闇賭博の市場は180兆円とも言われており、トップ選手も目がくらむ額を提示できる組織もある」(スポーツジャーナリスト)
全豪オープン中は試合後の会見のたびに「八百長関与」の質問が飛び、現在7位の錦織圭も「全く関与していない」と否定した。山口氏がいう。
「疑惑の目を女子選手に向ける記者もいて、ロシアのマリア・シャラポワ選手にも報道陣が八百長について聞いていました」
賭博組織が接触した「疑惑の16人」は欧米の選手と言われており、錦織は“シロ”と見られている。
今後疑惑の選手の名前が公開されて処分が下されれば、錦織が自己最高の4位に返り咲き──なんてことがあるかもしれない。
※週刊ポスト2016年2月5日号