高齢者にとって犬は最良のパートナーだと言われている。癒やしを与えてくれるほか、散歩などで運動をするため健康にもよいとされている。
その一方で飼い主である自分が高齢のため、世話ができなくなることを心配する声も多い。それを考えたがゆえに、飼いたくても飼えないという人もいるだろう。しかし最近は、高齢者が安心して犬を飼えるように、さまざまな仕組みが整いつつある。
まずは、高齢者とペットの暮らしを支えようと、2009年に関東の獣医師が集まり、結成されたVESENA(NPO法人・高齢者のペット飼育支援獣医師ネットワーク)。副理事長の親跡昌博さんが活動内容を教えてくれた。
「高齢者が安心してペットを飼い続けることができるよう、環境を整える活動をしています。例えば、爪切りや重いフードの運搬のお手伝い、足が悪くなって散歩に行けなくなってしまったかたの場合は、代わりをしてくれるかたをご紹介したりします」
相談は電話やメールで随時受け付けているという。
「この前は、ペットを飼っている70代後半の女性が1か月ほど入院することになりました。
その間、ペットホテルに預けると結構な金額が必要になりますが、われわれのネットワークで、ボランティアで預かってくれるかたが見つかり、代金は退院されるまでのフード代くらいとなりました」
また東京農業大学の増田宏司教授は、「ペット信託保険」をすすめる。
「通常の生命保険の場合、ペットに直接保険金を渡すことはできませんが、この信託保険を使えば、委託されたかたにお世話をお願いし、自分にもしものことがあった後も、保険金をペットの生活費に用立てることができます」
会社やプラン、ペットの大きさにもよるが、小型犬で年間60万円前後の支払いとなる。
「また万一の時も安心できるペットのすみかとして、ペット用の終生収容施設に入居させるという選択肢もあります」(増田教授)
※女性セブン2016年2月11日号