「海軍陸戦隊」といえば、海軍艦船に乗って、海上に浮かぶ島嶼の上陸作戦が主要な任務と思われがちだ。しかし、中国人民解放軍の海軍陸戦隊の隊員ら数百人が今年の1月1日、広東省広州駅から7つの省を横断して、鉄道や空路、あるいは陸路での軍用トラックでの移動や徒歩などで、ほぼ1週間かけて5900キロを移動し、新疆ウイグル自治区のゴビ砂漠に到着。豪雪地帯での軍事訓練を実施したことが分かった。
これは昨年12月、中国で「反テロ法」が成立したことで、テロ対策用の特殊部隊を海外に派遣できるようになったのと、習近平主席による軍事改革により海軍の役割の変化をアピールする狙いがあるとみられる。
中国国営新華社電によると、中国の海軍陸戦隊は昨年も2000キロを移動して、中国東北部の吉林省で冬季雪上訓練を実施しているのが、今回のように数百人の部隊が1週間かけて6000キロにも及ぶ距離を移動するのはこれまで例がない。
出動した部隊は広東省湛江に司令部を置く南海艦隊所属の陸戦隊で、主に特殊攻撃などを任務とする特殊部隊。テロ対策を目的に設立されたとみられる。
それは、部隊の最終目的地がウイグル族などによるテロが頻発している新疆ウイグル自治区であることからもうなずける。
また、ロイター電によると、中国では昨年11月に発生したパリのテロ事件などの影響で、急きょ昨年12月に反テロ法を成立させており、イスラム国(IS)のテロリストが中国で計画しているテロ事件に対応するため、海軍陸戦隊のテロ対策特殊部隊の軍事訓練が行われたという。
今回の訓練について、南海艦隊の李暁岩・副総参謀長は「今回の冬季寒冷地での軍事訓練は遠距離の移動と、これまで隊員が経験したことのない特殊な地域での活動に適応するためのものだ」とコメントしている。