日進月歩で進化するがんの早期発見法。ただし、種類が多すぎて実際にはどれを受けるべきか、分かりづらいのが実状だ。人間ドックで実施されている検査のなかには、費用が高額だが、検査精度が非常に高い検査法もある。
【PET検査】や【PET-CT検査】が代表的だ。
がん細胞は分裂が活発で、エネルギー源である糖を多く消費する。そこで、放射線を放つ特殊な糖を体内に入れると、がん細胞に集まるので、それをPET(陽電子放射断層撮影装置)で撮影し、がんの場所を特定するのがPET検査である。
このPET検査に加え、X線で身体の断面を撮影するCT検査を組み合わせて発見の精度を上げたのがPET-CT検査である。
費用は10万円以上かかるが、全身の検査を一度にでき、検査精度もかなり高い。
全身をくまなくスキャンするので、PETはすべてのがんに対応するが、得手不得手はあり、甲状腺がんや大腸がんを得意とし、胃がんを苦手とする。胃がんの検査については、内視鏡検査を利用すべきである。
同様に【MRI(核磁気共鳴画像法)】も、費用が10万円以上かかるが、検査の精度は極めて高い。MRIは、核磁気共鳴という物理現象を利用して、身体内を断層撮影する検査法で、放射線も造影剤も使用しないため、人体への影響は極めて少ない検査である。
エコーでは見えづらい血管や骨、脳の検診に向き、前立腺がんや子宮がん、卵巣がん、脳腫瘍などの検査ではCTより有効とされる。また、CTとは撮影方式が異なるので、両者の別の画像情報で診断をすることも可能になるのだ。
※週刊ポスト2016年2月5日号