中国人の訪日観光客らによる「爆買い」ブームはいつまで続くのか――。2月7~13日にやってくる中国の春節(旧正月)休暇を目前に、今年も小売業や外食業を中心に関心が高まっている。
各種データだけ見れば、爆買い消費は相変わらず旺盛といえる。
昨年、日本を訪れた1973万人の外国人のうち中国人は前年比約2倍の500万人。驚くのは人数よりも消費額で、全体の3兆4771億円の約4割にあたる1兆4174億円が中国人による買い物だ(政府観光局調べ)。1人あたりの金額は単純に28万円にも上る。
だが、ここにきて買い漁りの様子が落ち着いてきたと指摘する向きもある。
「爆買いの象徴といえば、1台10万円近くする高級炊飯器や温水便座などの“大物”だったが、最近は化粧品や健康食品、薬といった“小物”をまとめ買いする程度の中国人が多い。金額も控えめで手荷物に余裕のある人はたくさんいる」(中国人の訪日ツアーを組む旅行会社スタッフ)
確かに中国の旅行サイトで〈日本で買わなければいけない12の神薬〉として、『熱さまシート』(小林製薬)や『サロンパス』(久光製薬)、『龍角散』(龍角散)などが紹介されて話題となったり、『東京ばな奈』『ひよ子』『白い恋人』ほか土産の定番が人気だったりと、一時のブームに比べれば少々勢いに欠ける。
なぜ、爆買いに異変が起きているのか。『中国人の取扱説明書』の著書があるジャーナリストの中田秀太郎氏がいう。
「すでに訪日経験がありリピーターの中国人も多いため、日本の土産が珍しくなくなったことはあるでしょう。中国国内にいても通販サイトで日本の家電など大きな製品も容易に手に入りますしね。むしろ、最近は商品より日本独特のサービスや文化にお金を落とす中国人が増えています」
日本のマンガ・アニメの“聖地巡礼”、アイドルグループのコンサート、美術館回り、競馬・パチンコなどに中国人が大挙して押し寄せる光景も見られる通り、まさに「モノ→コト」への消費が進んでいる。
「今年の春節には、“ネオン街ツアー”を団体で組んでいる旅行会社もあると聞きます。秋葉原のメイドカフェ体験や高級クラブ、ストリップ劇場、風俗店に至るまで、さまざまなコースが用意されているらしく、歓楽街は恩恵を受けるかもしれません」(前出・中田氏)