羽田空港に降り立たれた天皇皇后両陛下の表情から、5日間のご訪問が大変充実したものだったことが伝わってきた──。1月30日、両陛下はフィリピンとの国交正常化60年を記念した公式訪問から帰国された。現地ではアキノ大統領との面会や晩餐会、在留邦人との接見のほか、両陛下の強いご意向もあり、太平洋戦争におけるフィリピン人犠牲者の眠る『国立英雄墓地』と、日本人戦没者のために作られた『比島戦没者の碑』への供花をされた。
「参列した約150人の遺族や元日本兵に歩み寄られた両陛下は、約30分にわたってお言葉をかけられました。目に涙をためながら話す人々に、両陛下はひとつひとつうなずかれながら真摯に耳を傾けられていました。そのお姿からは、両陛下が長らく続けてこられた“祈りの旅”への強いお気持ちが感じられました」(皇室記者)
今回のご訪問はフィリピン国民からの関心も高く、現地でも大きく報じられた。
「両陛下はフィリピンの人々とも深く交流されたいという思いを抱かれていたようです。そのため、両陛下はお乗りになる車を滞在中に別の車両に変更されたのです。滞在初日は、警備の関係から窓がほとんど開けられない車だったのですが、2日目から、窓が開けられるものに変わった。これは、直接お顔を合わせたいという、両陛下のご意向によるものだったそうです」(前出・皇室記者)
ともに80才を超える両陛下へのご負担を考慮して、今回のご訪問はかなり余裕のあるスケジュールが組まれていた。
「それでも最高気温は30℃に迫り、立っているだけでじっとりと汗が浮き上がってくるほど。屋外でのお出ましの際には、両陛下の立ち位置が日陰になるよう調整が繰り返されましたが、正装で臨まれている両陛下にはおつらい面もあったと思います。また、到着時の飛行機のタラップや、行事の会場にある段差などでは美智子さまの歩みがたどたどしくなり、陛下の腕におつかまりになることもありました」(前出・皇室記者)
2度の大きな手術をご経験された陛下と、頸椎症性神経根症による首や腕の痛みに加え、昨夏には心筋虚血による胸の痛みを訴えられた美智子さま。ご体調への心配が募る中で、フィリピンではこんな異例の光景が見られた。