覚せい剤取締法違反(所持)で元プロ野球選手でタレントの清原和博容疑者が逮捕されて以来、テレビでは過去の映像が数多く流れている。最近の様子や、これまでの来歴をわかりやすく示すために各局ともアーカイブから探してきた映像を使用しているのだが、最近になるほど、顔のみならず各所にモザイク処理された映像が目立つ。各局では、少しでもモザイクが少ない映像を使用したいとアーカイブを探すが難しい。
「清原の最近の映像は、CM出演とか映画のキャンペーンとか、どこかの企業のロゴなどが一面に入った看板の前ばかり。交通安全キャンペーンか何かで、ピーポくんと並んでいる映像だったりすれば、モザイクいらないんですけどね。古い映像ならあったような気もするんですけど、見つかりません」(在京テレビ情報番組スタッフ)
かつて、ニュース番組で容疑者の映像を使用する際、今のように過剰なモザイク処理がされることはなかった。しかし今では、当然のようにモザイク処理という「配慮」がされる。今回のニュース映像では、極端なものになるとプロ野球の試合映像の他の選手にモザイク処理をほどこしたものまであった。モザイク処理はいつから始まったのか。
「1998年の和歌山毒物カレー事件のとき、繰り返し放送された逮捕前に取材した被告の姿は、いつもあるブランドのロゴ入り服を着用した姿でした。その会社から正式に申し入れがあったとは聞いていませんが、イメージ悪化による風評被害を防ぐため今ではモザイク処理をするようになっています。2000年代からは、事件発生当初からニュース映像でザイク処理をするのが当たり前になっています」(ニュース番組ディレクター)
人物の周囲一面にモザイク処理がかかり、まるで切り抜き画像のようになった人物の映像が放送される様子は奇妙なものだ。しかし、風評被害がすぐに拡散される現在の対応としては、必要な「配慮」なのだろう。