安倍政権が推進する「女性が活躍する社会」。かつては男性社会のイメージが強かった警察でも、働く女性が増えている。
なかでも警視庁は昭和21年に全国に先駆けて63人の女性警察官を採用し、今では全警察官の約8.4%にあたる3697人が勤務している。男性に交じり悪と闘う、女性警察官の素顔に迫った。
男性との大きな違いに、結婚による出産や育児がある。以前は、仕事を続けたくとも、退職せざるを得ない職員も少なくなかったという。蔵前署交通課の小西早紀さん(34)は、2人の子供を育てるママさん警察官。
「警視庁は、出産や子育てをしながら働くためのサポート体制が充実しているんです。妊娠・出産・育児における休暇制度はもちろん、育児経験のある職員や、関連制度に精通している幹部職員の“子育てアドバイザー”がすべての警察署に配属されていて、女性警察官が働き続けられる環境が整っているんです」
こうした取り組みは、新たな意識をも生み出している。
「出産前と後で、仕事に対する取り組みに変化が生まれました。以前は正義感と情熱で突っ走っていたのですが、出産を経験したことで、子供や家族を守りたいという愛情をもってパトロールするようになりました」
自転車に子供を乗せる際の危険ポイントなど、母親ならではの着眼点も増えたのだとか。祖父を交通事故で亡くしていることもあり、交通取り締まりには人一倍の思い入れがある。
女性の中でも小柄な小西さんは、どうしても体力面で劣ってしまう。万が一に備えて、小学3年生から続けている剣道で腕を磨くほか、相手の動きを封じる「さすまた」などでの訓練を続ける。
警視庁では女性警察官の割合を平成30年度までに全体の10%を目標に増やす予定である。
撮影■ヤナガワゴーッ!
※週刊ポスト2016年2月12日号