ベストセラー作家奥田英朗氏の同名小説が原作のドラマ『ナオミとカナコ』(フジテレビ系)が話題だ。大学時代の親友である2人がDV夫の殺害計画を企む物語で、出演しているのは広末涼子(35才)と内田有紀(40才)だ。2人の起用には実は大きな意味があると、テレビ解説者の木村隆志さんは指摘する。以下、木村さんの解説だ。
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90年代は現在のようなグループアイドルではなく、女優がアイドルシーンをけん引していました。まず90年代序盤にブレイクしたのは、宮沢りえさん、観月ありささん、牧瀬里穂さんの“3M”。「アイドル女優としてドラマ主演しつつ主題歌を歌う」という形を定着させましたが、90年代中盤に入ると広末涼子さんと内田有紀さんが、その流れを引き継ぎました。
2人が約20年の時を経てようやく初共演というのも驚きますが、『ナオミとカナコ』でのダブルヒロイン起用には大きな意味があります。それは「大学時代の親友である2人がDV夫を殺す」という作品のテーマ。同じ時代に同じアイドル女優として生き抜いた広末さんと内田さんは、言わば唯一無二の盟友。それだけに、ナオミとカナコの大学時代に広末さんと内田さんの90年代が、ナオミとカナコの再会後に広末さんと内田さんの現在がオーバーラップするような構図になっています。
ナオミとカナコは、2人がアイドル女優だったころには決して演じることのない役。だからこそ、広末さんと内田さんが約20年に渡って培ってきた女優としてのスキルや、成長した姿を見せるにはうってつけと言えます。実際、今作では90年代のようなスマイルは封印して、広末さんは鋭い眼差しと低い声で危うさを、内田さんは全身から絶望感を醸し出しています。