紺色のコートをさらりと羽織り、冬の晴れ空を優しく愛おしそうに見つめる。そのまなざしは今回、斎藤工(34才)がドラマスペシャルで演じる『最上の命医2016』(テレビ東京系で2月10日から放送。21時~23時8分)の天才小児外科医・西條命(さいじょうみこと)そのものだ。
「5年前に放送された連続ドラマ版は、ぼくにとって連ドラ単独初主演作と特別なもの。5年たっての続編は特殊なケースだと思いますが、放送終了後も番組ホームページの掲示板にメッセージがずっと書き込まれていたんです。そこには“続編を希望します”といった書き込みもありました。
この5年間、苦しいときはそのメッセージを見るようにしていたんです。それがようやく続編というかたちで実現して、ずっと書き込んでくれていた人たちに、やっとお礼ができるなと」(斎藤、以下「」内同)
その中には実際、小児科医を目指している人もいるそう。
「ドラマを見て、“小児科医になりたい”と書き込みもあったり、5年間、ぼくあてに手紙で報告してくださったかたもいました。そのかたは、今年の4月に晴れて、小児科医になるそうです」
ドラマでは『無限の樹形図』という言葉がたびたび出てくる。これは“子供の命を救うことは未来を救う”ことを意味する。
「西條命はそこにブレがないから、迷わず他者の命を優先する。彼の口癖に“見殺しよりも人殺しのほうがいい”というものがありますが、これは責任をとる覚悟があるから。
医療裁判で責任問題を追及されることの多い小児科ですが、何もしないでいるよりもリスクを冒してでも、子供たちの命を救いたい。そんな医者がいたらいいなという理想が命のような気がします」
小児科が舞台とあって、ドラマでは子供と接することも多かったという。
「子供って子供扱いしたら、いっぺんで見抜くんですよね。ぼくも小さい頃、子供扱いされると、“この人、今、ぼくのことを子供扱いしたな”って、ちょっと嫌だったし。だから子供たちには一人前の人間として接しなきゃダメだと思ってます」
また自身と医者のかかわりについては次のように話す。
「小さいころからお医者さんにかかるのは神頼みで、お医者さんは聖人君子のように見ていました。でもそれは小児科医だけでなく、歯医者さんなんかもそう。今まで診察してもらった先生に対してもこの人はどうして医者になったのか? 医者として普段はどう過ごしているのか考えました。それが役作りですごく大切なエッセンスになっています」
撮影■江森康之
※女性セブン2016年2月18日号