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「緊急事態条項」 首相や内閣の独裁を許す危険はらむ

 安倍首相が今年、息まいているのが、憲法改正だ。安倍首相にとっては、悲願ともいわれ、9条改正が注目されているが、気をつけるべきは「緊急事態条項」だ。

 これは、日本に対する外部からの武力攻撃、内乱、自然災害などの緊急事態において、内閣総理大臣は閣議にかけて緊急事態宣言を発することができるというもので、国会での承認は事前・事後のどちらでもいい。

「安全保障関連法に反対する学者の会」に名を連ねる、社会学者の上野千鶴子さんは激怒している。

「これが成立したら、緊急事態を宣言すれば、内閣は国会を通さずに、法律と同じ効力のある政令を制定することができるようになります。これは、憲法に拘束されない全権限をナチスに与えた全権委任法と似ていて非常に危険です。その危険性を、国民はあまりわかっていないと思います」

 草案を見ても、緊急事態の宣言が発せられた場合、「基本的人権に関する規定は最大限に尊重されなければならない」としつつも、「何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」とされる。

“とにかく国の言うことに従え”と言っているようなもので、首相や内閣の独裁を許す危険をはらんでいるのだ。

 政府は「東日本大震災などの災害が起きたときのため」と災害対策を強調するが、「災害対策基本法」という法律は、まさに災害のためにある決まりなのだから、緊急事態条項など必要ないはずなのだ。

※女性セブン2016年2月18日号

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