〈動物愛 ふっと消え 今は小説書きたい〉──1月29日付の毎日新聞夕刊に掲載された“ムツゴロウさん”こと畑正憲氏(80)のインタビューが波紋を広げている。記事ではムツゴロウさんは死ぬまでにブラジルを舞台にした女性の一代記小説を書きたいといった構想を語っている。そして思わず目を疑ったのがこのコメントだった。
〈動物でも人でも食べ物でも、好きになると徹底的に究めたくなる性分を、「自分でも怖いくらいの愛情過多症」と呼んでいた。「熊とか馬とかを命がかかっちゃうくらい愛するんです。だけど70を超えたころから、ふーっとなくなったんですね」
のめり込まず、距離を置いて楽しめるようになったが、原因はまだ究めていない〉
かつてライオンに指を食いちぎられた際も「これくらいは傷に入りません」と笑っていたほど、動物愛に溢れていたムツゴロウさんだけに、「動物愛がなくなった」という告白はショッキングだ。しかもその原因は“セックスへの欲情”がなくなったことだという。
真意を訊くため、ムツゴロウさんを訪ねると玄関先には40代半ばの男性が。「お先にどうぞ」と促され、インターフォンを押すと女性スタッフが出てきて、興奮気味にこう語った。
「本当に困っているんです。毎日新聞にあんなこと書かれちゃって!」
あれ、何か話が違う……。戸惑う記者の横から、“先客”がおもむろに「私が毎日新聞の……」と名乗り出た。すると女性スタッフの目の色が変わり、その毎日記者に一気に捲くし立てた。
「あなたがそうなの!? もう、何であんなタイトルなの! 本人は、まだ動物の番組も専門学校の講師もやってます。動物への愛がなくなったなんてことはありませんから!」
その剣幕を前に、毎日新聞を名乗った男性は平身低頭するばかりだった。ムツゴロウさん側の反論について毎日新聞に見解を求めたところ、「該当部分をお読みいただければ、“命がかかっちゃうくらい愛する”ことがなくなり、“のめり込まず、距離を置いて楽しめるようになった”ということがご理解いただけると思います」とのことだった。
だとするとタイトルの“飛ばしすぎ”のようにも思えてしまうが、ムツゴロウさんの動物愛が健在だったのなら喜ばしい限り。
※週刊ポスト2016年2月19日号