この3年、韓国を訪れる観光客が激減し続けている。そして、日本人の“韓国離れ”により、韓国では深刻な事態が起こっていた。経済評論家の三橋貴明氏が指摘する。
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日本人客激減のダメージは、韓国の観光業界を直撃した。
まずは、航空会社。たとえば、済州島と大阪を結ぶ大韓航空の直行便路線は近い将来、廃止を余儀なくされると観測されている。2015年、この便で済州島を訪れた日本人は約5万1900人だった(1~10月)。前年同期(約7万2000人)と比較して3割減り、完全な赤字路線となった。
それ以上に影響が深刻なのは、高級ホテルだ。確かに、日本人客が激減する一方、中国人客が増えてはいる。そのため、免税店などの売り上げは彼らによってカバーされ、さほど落ちていない。
しかし、中国人と日本人ではツアー目的がまったく違う。韓国を訪れる中国人は、(日本にやって来て“爆買い”するのと同様に)買い出しが目的で韓国を旅行している。訪韓中国人の多くはゲストハウスやビジネスホテルなどに泊まって出費を抑え、その分を買い物に回すのが主流で、宿泊費の高いホテルなど、ほとんど利用しない。
そのため、韓国メディアも高級ホテルの惨状を盛んに報じている。ほとんどの高級ホテルで日本人観光客が30%以上減少し、以前と比べて半分になった高級ホテルもあり、客室ががら空き状態の現象が起きているというのだ。
当然のごとく業績も悪化。韓国の「新羅ホテル」は2014年、206億ウォンの赤字となり、「ロッテホテル」も2012年には447億ウォンだった営業利益が、2014年は243億ウォンに激減したという。