使用期限切れ鶏肉問題などが尾を引き、業績不振の続くマクドナルド。2月9日に発表した日本マクドナルドホールディングスの2015年12月期連結決算は、最終損益が347億円の赤字となり、過去最大だった昨年の218億円の赤字記録を更新してしまった。
ただ、徐々にではあるが回復の兆しも見え始めている。「エッグチーズバーガー」ほか200円の新メニュー「おてごろマック」を増やすなどした結果、今年1月の客数は33か月ぶりにプラスに転じている。また、既存店売上高も対前年比で35%増えた。
サラ・カサノバ社長は決算会見で今期は10億円の最終黒字を見込むとしたうえで、〈状況は改善してきている。今年度は明るい年になる〉と改革の手応えを見せたという。
今後、マックが真の復活を遂げられるかどうかは“外部”の力によるところも大きい。これまでマック株の約5割を握っていた米国本社が33%程度を売却する方針だからだ。つまり、米のチェーン支配が薄まり新しい株主がマック経営に関与することで、経営体制の見直しや新商品開発が柔軟かつスピーディーに行えると期待されている。
すでに株売却の入札は締め切られ、水面下で価格交渉が行われている模様だが、その顔ぶれとして名前が取り沙汰されているのは、日本企業にも投資実績のある外資系ファンドばかりだ。
回転寿司チェーン「スシロー」を傘下に持つ英投資ファンドのペルミラ、アジアに特化し、日本では「コメダ珈琲」に投資するMBKパートナーズ、すかいらーくを買収して再上場させた米ベインキャピタルなどが候補に挙がる。
外資系投資ファンドと聞くと、単なる投機目的の“ハゲタカ”を連想しがちだが、「一括りにできない面もある」と話すのは、外食ジャーナリストの中村芳平氏だ。
「特にベインキャピタルは、カネも出すが有能なヒトも連れてきて事業再生の方向づけをしっかりやるという点で評価も高い。
すかいらーくを再上場させたときには、日本の大手メーカー複数社から資金を集めてくるほど日本市場に入り込んでいますし、すかいらーくの現会長は米国マクドナルド元社長のラルフ・アルバレス氏。マックとも少なからず縁があるため、ここが再建に乗り出せば復活の期待は高まります」