特大の花火がドカドカ打ち上げられたような、激動の幕開けを迎えた2016年。数々の迷言に沸いたベッキー(31才)の不倫騒動に始まり、スキンヘッドで出廷した野々村竜太郎被告(49才)の政務活動費をめぐる初公判、甘利明前経済再生担当相(66才)の現金授受問題、そして、これまで沈黙し続けていた小保方晴子氏(32才)による“あの日”を語った手記の上梓──。
かたや芸能、かたや政治と、一見すると畑違いなこれらの騒動も、「化けの皮」がはがれたという視点で捉えてみると、興味深い関連性がある。それは、化けの皮がはがれた時にどう対処したかで明暗がクッキリ分かれたということだ。
化けの皮がはがれる。それは、「隠されていた悪い要素が明らかになること。ボロがでる」ことを指す。
「フィリピンで買春をしていた、中学校の校長先生の事件がいい例だと思います」と話すのは、社会調査を主とするライター、リサーチャーの松谷創一郎さん。昨春、2014年にマニラ市内のホテルで少女に金を払ってわいせつな行為に及び、その様子を撮影したとして横浜市の公立中学校の高島雄平元校長(65才)が、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。1万2000人以上の女性との写真が、関係先から押収されたという。
「校長として信頼も厚かったが、フィリピンで買春をしていた。現地の女性たちは彼がすごく紳士的だったと、口を揃えています。児童買春をしていたのは大問題ですが、“校長らしい買春”をしていたともいえる。社会学的には、人間は演技する生き物ですから、人は、他者から期待される役割を演じることは当然だと捉えられています。例えば、誰だって家庭と仕事場の顔は違います。その場に応じて役柄を演じ分けている。
ある時ショックだったのが、駅の構内で美しい女性がパラッと物を落としたんです。拾って渡そうとしたら、彼女は『捨てたんです』としらっと言って去って行きました。上品な外見と下品な行動のギャップに唖然としてしまいました。この1か月で話題になった人たちも、一般的なイメージと別の顔とのギャップがあまりに大きかったですよね」(松谷さん)
化けの皮がはがれた時に人間の行動は大きく4パターンに分かれる、と心理カウンセラーの塚越友子さんは語る。
「印象が悪くなる状況で、人は自分のイメージ回復のためにどう見せたらいいのかをとっさに考えます。その際、いくつかの印象回復のパターンがありますが、パーソナリティーの成熟度によって、選択する行動が変わります。
まずひとつめは、甘利さんのように不正を認めて、潔く引き下がる。模範的な態度で自分を立派だと示す成熟度の高いタイプ。都合のいい情報を提供して、『たまたま罠にはまっちゃった』と周囲に印象づけて、名誉を挽回する。小保方さんもこのタイプです。自分と悪い行為の結びつきを弱める主張が特徴です」