ペットフード協会による2015年の全国犬猫飼育実態調査によると、現在の猫の平均寿命は15.75才、犬は14.85才で、長寿傾向にあるという。相模原プリモ動物病院院長・今井巡さんはこう話す。
「飼育環境の変化や医療の発達で猫や犬の寿命は、30年間で約2倍に延びました。医療技術がどんなに優れていても、決定権は飼い主様に委ねられます。特に終末医療の場合は、迅速に治療しないとならず、悩んでいる暇はありません。治療はどの段階まで行うか、最期はどう看取るかなど、家族で方針を話し合っておきましょう」
治療方針に不安を感じたら、セカンドオピニオンを求めるのも手。飼い主が後悔しない選択肢を得ることが大切だ。また、平和会ペットメモリアルの中東学是さんは、「元気なうちから“墓活”を」と言う。亡くなってから慌てて霊園を探すより、事前にどんな場所か、散歩がてら足を運んでみたほうが、費用や利便性など比較検討でき、飼い主の安心にもつながる。
ペットの医療や葬儀が充実してきた一方で、「ペット保険」というものも存在している。しかし、ペット保険の加入率は5%前後にとどまる(アイペット損害保険調べ)。
地域差もあるが、都内での猫や犬の治療費は、がんの手術で約5万円~、骨折では約40万円になることもある。一方のペット保険の平均額は年間2万円程度。仮に14才まで生きたら生涯の保険総額は約28万円となる。「お金を理由に治療に専念できないのは嫌」と加入する人もいるが、こんな意見も。
「わが家の愛犬は、がんで8回手術をし、治療費の総額は50万円程に。当初、保険に入っておらず、途中で加入を検討しましたが、治療費が全額補償されるものは保険料が高く、低額の保険料の場合は保険料に加え、治療費が3~5割かかる。加入しなくても、費用はあまり変わりませんでした」(39才・自営業)
病気やけがの種類によっては、保険が適用外のケースもあるので、ライフスタイルに合わせて検討を。
※女性セブン2016年2月25日号