マイナス金利の導入で不動産市場が活性化される可能性を説く金融関係者は少なくない。この「マイナス金利祭り」ともいえる状況で儲けるために、投資のプロたちはすでに買いを入れている。この機に狙うべき銘柄とその理由を解説する。
カブ知恵代表の藤井英敏氏が注目するのは、やはり「マイナス金利祭り」の恩恵が大きい不動産関連株。なかでも三菱、三井のような財閥系ではない企業が狙い目だという。
「注目は東急電鉄グループの不動産部門を担う東急不動産ホールディングス。不動産価格が上昇しやすい都心を中心に広く手がけている。今年3月には『東急プラザ銀座』のオープンが控えているのも評価できます。免税店がテナントに入っており、爆買い需要も狙える。
次は東京証券取引所の入るビルの大家でもある平和不動産。兜町エリアに強い企業ですが、この地域は再開発が進んでおり、地区として非常に魅力的。今期の経常利益を20%上方修正するなど足下の業績も心強い」
マンションの空き部屋を有料で貸し出す「民泊」に乗り出す企業も期待が高い。
「不動産デベロッパーのプロパストがこの分野に参入することを発表し、話題になっている。訪日観光客や東京オリンピックに向けたホテル不足の解決策として期待されているので注目度は高い」(同前)
このチャンスに乗じて「一攫千金」を狙える銘柄もある。
「東京都内のデザイナーズマンション賃貸物件を扱う、マザーズ上場のAMBITION。時価総額30億円と規模は小さい企業ですが、株価の値動きが激しい。昨年は880円台もつけていましたが今年に入って2500円台まで上昇しました。ハイリスクハイリターンですが、値動きの大きい銘柄が好きな人には向いています」(同前)
不動産業界以外にもマイナス金利で上昇期待の銘柄はある。ケイ・アセット代表の平野憲一氏は、円安に進むことを見込んで「インバウンド」関連の銘柄が値を上げると見る。
「400億円を投じて大阪に新工場と物流拠点を建設すると発表した資生堂は要注目です。中国やアジアで『本物の化粧品』として確固たる地位を確立していますし、今回の設備拡充にも好感が持たれている。
昨年、新宿・歌舞伎町に『ホテルグレイスリー』を開業し、外国人から高い評価を得ているのが藤田観光。同ホテルは客室数970という大規模ホテルですが、開業記念のセールス期間は客室のインバウンド比率が67%という高い数字を叩き出した。ビルの外側に巨大なゴジラの像が設置されているのも観光客にウケが良い」
※週刊ポスト2016年2月19日号