米保守系ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」は米政府関係者の情報として、「重大な規律違反」で中国共産党の党籍をはく奪され、収賄などの容疑で逮捕されている元党最高幹部の1人、令計画氏に関する記事を発表。同氏が秘密裏に約2700件もの重要書類を持ち出し、弟の令完成氏に託していたが米政府機関は昨年9月ごろ、完成氏をその庇護下に置きし、秘密文書も確保したことを明らかにしたのだ。
これらの文書は超A級の最高機密で、軍の核兵器施設や党政府機関が集中する北京・中南海の詳細な地図、さらにコンピューターのパスワードや最高指導者の個人情報などが含まれている。これらの秘密文書も米中央情報局(CIA)や米連邦捜査局(FBI)によって、詳細に分析されているという。
計画氏は2014年12月下旬、「重大な規律違反」で党組織の調査を受けていることが発表され、2015年7月には党籍をはく奪されている。
弟の完成氏はすでに2014年秋には香港経由で、米国に渡っており、米カリフォルニア州の豪邸を購入し、隠れ住んでいた。ところが、昨年5月ごろには、中国の当局者が完成氏の邸宅に侵入したことから、完成氏は米政府関係者と連絡をとり、米政府の庇護下に入ったとされる。
同サイトによると、中国政府は米政府に抗議。昨年9月、訪米した孟建柱・党政法委書記(党政治局員)がケリー米国務長官と会談し、完成氏の身柄の引き渡しを求めたが、ケリー長官は米政府が完成氏について、何もコメントしなかったという。
業を煮やした、中国側は今年1月15日、ロイター通信に対して、「令完成については、中国は適切に対応しており、米国政府と連絡を取っている」ことを明らかにし、完成氏が米国政府の庇護下にあることを暗に認めている。
気になるのは2700件もの秘密文書の中身だが、中国内の核兵器の施設を含む軍事情報や中南海での各指導者の住居や執務室などの詳細な地図および出入り口のパスワード、習近平主席をはじめとする最高指導者の個人情報などが含まれているという。
同サイトは米政府高官の話として、完成氏について「米国に逃げてきた中国人としては、これまで30年間で最も重要な人物であることは間違いない」と指摘している。