芸能

『武道館』原作・朝井リョウが考える「アイドルの恋愛禁止」

「アイドルの恋愛禁止」について語る朝井リョウ氏

 直木賞作家・朝井リョウ氏原作によるドラマ『武道館』(フジテレビ系、BSスカパー!)が2月6日にスタートした。5人組女性アイドルグループ「NEXT YOU」を主人公にアイドルの世界の裏側を描くこの作品。ハロー!プロジェクトのアイドルグループ「Juice=Juice」がNEXT YOUを演じ、実際につんく♂プロデュースでCDもリリースするということでも話題だ。自身もハロプロの大ファンだという朝井氏は、Juice=Juice主演の『武道館』をどう観たのだろうか──。2月4日に開催された試写会で第1話を観た直後の朝井氏に話を訊いた。

──試写会で『武道館』の第1話を観たばかりですが、いかがでしたか?

朝井:やはり原作者なのでなかなか1人の純粋な視聴者としては観られなくて、物語をどう伝えていくかという視点で観てしまいました。たとえば、事務所のスタッフの会話とNEXT YOUのメンバーたちの会話が重なることで場面展開をしていくシーンがいくつかあったんですが、小説でこの手法を何度も使うとちょっとクドくなってしまう。でも、映像で見るとそうすることですごく自然に描けるなあ、とか。第1話ということで、いろいろなことを説明しなくてないけないと思うんですが、そこをドラマとしていかに飽きさせず面白くするかという点に、すごく腐心してくださったんだろうなあということを感じながら観ていました。

 ライブのシーンはやっぱり映像だからこそ表現しやすいものだなと思いましたね。歌って踊っている姿や、熱狂している客席の様子は、文章ではなかなか表現しにくいものなので。今後も文章では描きにくいシーンがピックアップされていると、映像化の意味が強まると思います。

 ただ、逆に言うと、映像のなかで描かれていない部分については、小説を手にとって感じとってほしいという気持ちもあります。小説って、たとえば水に何か物を投げ入れたら、バシャンと水がはねてから、水面の余韻が消えるまで文章で表現できるんですけど、ドラマの場合はバシャンというところで終わらないとテンポが悪くなってしまう。なので、ドラマでは描かれていない“余韻”や“裏側にあるメッセージ”というものを小説を読んで考えてもらえたらいいなと思いますね。ドラマの利点と小説の利点がうまく重なって『武道館』という物語が完成するという感覚です。

──そもそも映像化を想定して執筆していたのですか?

朝井:いつか映像化されたらいいな~と夢見てはいましたが、実在するアイドルに演じてもらうなんていう挑戦的なことが実現するとは考えてなかったですね。アイドルにしてみたら、あまり口に出したくないような台詞もあるでしょうし…。なので、映像化の話をいただいた当初は『蛇にピアス』の主演の吉高由里子さんみたいに、まだ有名ではない新人の女優さんが体当たりで演技する、みたいなイメージを抱いていたんですよ。まさか現実のアイドルが演じるとは、まったく想像もしてませんでしたね。

──朝井さんもファンであるJuice=JuiceがNEXT YOUを演じることになるわけですが、朝井さんの推薦があったんですか?

朝井:最初は、オーディションで選んだ素人の女の子たちでNEXT YOUを結成するという話だったんですよ。だけど、歌もダンスも演技もできるようにならなくてはいけないとなると、いきなり素人の女の子では難しい、となりまして……制作側の方々から「もし現実のアイドルがNEXT YOUを演じるとしたら?」と聞かれたんですよね。そこで、「その場合はハロー!プロジェクトがいいです」と答えました。つんく♂さんの歌詞に影響されて書いた本でもあるので、ハロプロでお願いします、と。

──Juice=Juiceが演じるNEXT YOUを観て、いかがでしたか?

関連記事

トピックス

“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
初めて万博を視察された愛子さま(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《万博ご視察ファッション》愛子さま、雅子さまの“万博コーデ”を思わせるブルーグレーのパンツスタイル
NEWSポストセブン
尹錫悦前大統領(左)の夫人・金建希氏に贈賄疑惑(時事通信フォト)
旧統一教会幹部が韓国前大統領夫人に“高級ダイヤ贈賄”疑惑 教会が推進するカンボジア事業への支援が目的か 注目される韓国政界と教会との蜜月
週刊ポスト
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン