犬や猫などのペットは大事な家族の一員。いつかお別れの日はきてしまうものだが、そんな時に取沙汰されるのが「ペットロス」だ。これは、ペットを失ったことで生じる、悲しみの過程を指す。日本ペットロス協会会長の吉田さんは、「猫や犬は人間に比べ寿命が短いため、人が生きているうちに死を迎えることが多い。拒絶しないで、“必ず訪れる”ことと受け止めて」と話す。ペットへの依存度が高い人ほど、死が受け入れられず、ペットロスが重症化しやすいと言う。
とはいえ、ペットロスになるなというのも無理で、喪失感に悩むのは、自然だと言う。
「ペットロスになっても、早く立ち直ろうとがんばる必要はないんです。悲しみは押し殺さず、泣きたい時は思いきり泣いて構いません。気持ちが落ち着いてきたら、家族やペット仲間に思い出話を聞いてもらいましょう。話すことで心の整理もついていきます。そのためにも、生前からペットを介して友達をつくっておくことをおすすめします」(吉田さん)
喪失の状態が2か月以上続く場合や、引きこもりが続く場合は“ペットロス重症化”の恐れがある。ペットロスは、まだ社会的な認知が乏しいため、孤立しやすい。早めに心療内科医やペットロスカウンセラーなど、専門家に相談し、心のケアを始めよう。
「現実を受け止め、愛猫・愛犬を失ったことを肯定的に捉えられるようになったら大丈夫。あの子からたくさんの喜びをもらったと、感謝の気持ちで前に進んでください」(吉田さん)
米国を中心に動物愛護の活動を行い、『犬のエネルギーを読む』の著書もある神野あきらさんは「ペットは、飼い主の“心の準備”ができてから、旅立つもの」と話す。家族が揃ったのを見届けてから息を引き取るなど、死の瞬間にはよく、奇跡的なことが起こるという。
「これは、ペットたちの飼い主への“想い”がそうさせているんだと思います。ペットを失った悲しみは、たくさん泣くなどして充分に感じてください。ただし、悲しみを抱え込んで長く引きずらないこと。彼らは、自分の死で、飼い主が悲しむことを望んでいません。ペットロスで苦しんでいる人は、1日5分でもいいので、死を受け止めてみてください」(神野さん)
ペットは自らの死を通して、私たちに心の成長を促してくれるのだ。
※女性セブン2016年2月25日号